研究課題/領域番号 |
15K08868
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
浅村 英樹 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (80324250)
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研究分担者 |
佐藤 紀子 信州大学, 学術研究院医学系, 助手 (00649254)
塩崎 哲也 信州大学, 医学部, 助教(特定雇用) (00722018)
亀井 佐矢子 信州大学, 医学部, 特任助教 (10735153) [辞退]
林 徳多郎 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (50600607)
布谷 美弥 信州大学, 医学部, 特任助教 (10759921) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | DNA多型 / 個人識別 / 劣化DNA試料 / INDEL多型 |
研究実績の概要 |
DNA鑑定技術が進歩し、法医学的分野においてSTR解析を主とした個人識別法は確立されつつあるが、劣化DNA試料においては、決して十分とは言えない。これまでに劣化DNA試料に対しても精度の高い個人識別を可能にすべく、DNA分析法の確立と鑑定精度の向上を目的とした研究を遂行してきた。最近では、INDEL多型に注目し、INDEL解析が劣化DNA試料の分析に有効性があることを確認するに至り、論文発表を行った。その上で、本研究では特異な血縁関係の鑑定に有効なX染色体に着目し、日本人集団に多型性があると推定されたX染色体の19INDEL多型を抽出し、マルチプレックスフラグメント解析システムの構築を試み、日本人集団の解析を試みた。その結果、いずれも連鎖不平衡は認めず、日本人集団における総合識別能は男性で0.99996、女性で0.99999990と算出され、X染色体の鑑定に極めて有効なシステムの構築ができ、劣化DNA試料への有効性も確認できた。さらに、既報に加えて新たな11座位のX染色体STRのマルチプレックスシステムを開発し、一層の鑑定精度の向上を図ることに成功した。一方、この研究過程で、劣化試料である硬組織のDNA抽出に際しての試料の選択及び分析試料の形状と脱灰処理が、状態の良いDNAの抽出に影響するのではないかと疑問を抱いたことから、歯牙・大腿骨・頭蓋底錐体部の部位別の比較、脱灰時間や脱灰温度を変化させた上での分析試料の形状の比較について、各々抽出したDNAの定量検査や分解能の測定によって相違を確認する研究を行った。その結果、部位別では歯牙が最も最適な試料であること、試料の形状と脱灰処理では形状に分析効率の有意差はないものの、脱灰温度については高温の方が短期間の脱灰時間でも抽出効率が高く、2, 3日から5日間の脱灰処理を行った場合が最も抽出効率が高まり、仮にそれ以上の長時間の脱灰処理を行ったとしても抽出効率の低下がないことを確認できた。
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