研究課題/領域番号 |
15K08873
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
木下 博之 香川大学, 医学部, 教授 (00284357)
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研究分担者 |
田中 直子 香川大学, 医学部, 助教 (60700052)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 硫化水素 / 中毒 / センサーガスクロマトグラフィー / 気化平衡 / 腐敗ガス / 定量 / 測定法 |
研究実績の概要 |
硫化水素は、火山ガスや硫黄含有有機物の分解で生じる腐敗ガスとして自然界に広く存在する。また、工業原料としての用途も多いこともあり、職業上の曝露事故などもみられる。職場での曝露は一酸化炭素に次いで多いといわれており、法医学領域でも硫化水素中毒死事例を取り扱う頻度は比較的高い。 硫化水素の影響を評価する上では、血液中の硫化物濃度を指標とするため、試料の測定が重要であるが、従来から測定には特殊な検出器や試料の前処理を必要とした。 本研究で用いた硫化物測定装置は、半導体センサーを検出器とする小型のガスクロマトグラフィーであり、従来と比べ特殊な操作を要しないことが特徴の一つとされている。そこで、本年度はまず、硫化物測定装置を用いた硫化水素濃度の測定法の確立をすすめた。Fukuiらの方法に準じて、気化平衡法により硫化水素の有無を確認したところ、硫化水素自体のピークは容易に確認可能であった。しかし、血液や組織試料を用いた場合、目的とする硫化水素以外にもピークがみられ、それらのガスの影響の有無についても確認する必要が生じた。硫化水素は腐敗の進行により生じ、その際には水素などのガスが同時に産生することから、硫化水素以外のガスに対する分離や測定への影響についても併せて評価した。その結果、水素については十分分離可能であり、硫化水素の測定に影響しないことが明らかになった。現在は中毒モデルの確立に向けて作業をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
他のガスが硫化水素の測定に影響する可能性については、当初の計画の際にも想定されていた事項である。測定系の確立が困難であった場合の計画に沿って,実験計画の実施事項の修正を行っていく。計画の上では極端に大きな遅延はないが、いくつか生じた問題点についてはそれぞれについて対策を講じている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度については、水素などの他の無機ガスが硫化水素の測定に影響する可能性については、追加の検討を行ったところ、特に影響はないことが確認された。しかし、その検討に時間を要し、当初の予定に比べて動物実験にやや遅延が生じた。 次年度については、追加の実験を行うことで、予定している体内動態の検討とともに、死斑に与える影響についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね、計画通りに経費を支出できたが、若干の余剰が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の実験に使用する物品費の一部に充当する。
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