研究課題/領域番号 |
15K08874
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
浅野 水辺 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90283879)
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研究分担者 |
上野 易弘 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30184956)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 急性薬物中毒 / 薬物定量分析 / ホルマリン固定臓器 / LC-MS/MS |
研究実績の概要 |
ホルマリン固定臓器から中毒の原因となった薬毒物を検出することがどの程度可能か、固定期間および薬物の種類、血中濃度の点から検証することを目的として研究を遂行し、下記の結果が得られた。 1、過去の解剖例から死因が薬物中毒死である症例を抽出し、既に確立しているLC-MS/MS法により薬物分析を行い、血中濃度が相当に高いフェノバルビタール等はホルマリン固定臓器からも検出できることがわかった。 2、LC-MS/MS分析により、死後にホルマリン液で全身還流処置(エンバーミング処置)を行った死体の肺臓、膵臓、脾臓、血液からアミトリプチリン、ジフェンヒドラミン、アセトアミノフェンなどを検出し、剖検所見および死亡状況等を勘案した結果、アミトリプチリン中毒と診断した一剖検例を報告した。血中アミトリプチリン濃度は一般的な血中致死濃度を遙かに上回っており、臓器中濃度も高値であった。 3、23種の向精神薬につき血清中のUPLC-MS/MSによる同時定量分析法を構築した。即ち、血清の固相カラムによる精製・濃縮(分析前処理法)並びにUPLC及びMSの至適条件を決定し、信頼できる精度で定量分析ができることを確認した。さらに、既存のライブラリに前述23種の薬物を加え、UPLC-MS/MSによる薬毒物スクリーニング法が概ね構築出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であるUPLC-MS/MSによる薬毒物分析法がおおむね確立でき、ホルマリン固定臓器から薬毒物が検出されることが示された。
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今後の研究の推進方策 |
血中薬物分析のUPLC-MS/MS条件は確立できたが、さらに臓器中あるいはホルマリン固定臓器中の薬毒物分析により適した分析法を検討し、微量薬物が検出可能な高感度分析法を検討する。ホルマリン固定臓器中の薬物分析事例の症例数を増やし、死亡時血中濃度およびホルマリン固定期間などの影響を明らかにすべく研究を進める。
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