研究課題
ホルマリン固定臓器から中毒の原因となった薬毒物を検出することがどの程度可能か、固定期間および薬物の種類、血中濃度の点から検証することを目的として研究を遂行し、下記の結果が得られた。1. 解剖例から死因が薬物中毒死である症例を抽出し、昨年度構築したUPLC-MS/MSによる薬毒物スクリーニング法及び簡便な前処理による定量法により、冷凍保存及びホルマリン固定臓器中薬物分析を行った。血中濃度が相当に高い薬物はホルマリン固定臓器からも検出できるが、ある種の薬物は分解等されて濃度が著しく減少すること、或いは検出下限を下回り検出できないことがわかった。2. ホルマリン固定臓器中では薬物濃度が減少することが示唆されたので、法医実務で検出頻度の高い抗精神薬10種を添加したブタ肝臓ホモジネートをホルマリンに3日~6ヶ月浸漬し、長期に亘るホルマリン浸漬による薬物濃度減少について検討した。減少率はアミトリプチリン、ジフェンヒドラミン、クエチアピンは30%以下であったが、ブロチゾラム、エチゾラム、レボメプロマジン、パロキセチンは80%、エスタゾラムは添加直後から検出下限以下まで減少した。
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