研究実績の概要 |
ラットの皮膚創における血管新生過程の研究は、法医学における創傷鑑定にとって重要である。本研究では、これまで、ラットの皮膚に切創を作成し、創作成1ないし3日後の早期の種々の血管新生因子のmRNAの定量を行ってきた。これまでの研究結果 Kameyama H, Udagawa O, Hoshi T, Arai T, Toukairin Y, and Nogami M. The mRNA expressions and immunohistochemistry of factors involved in angiogenesis and lymphangiogenesis in the early stage of rat skin incision wounds. Leg Med (Tokyo) 2015;17:255-260.では、CXCL2、CSF3、MMP9、PAI1、CSF2のmRNAが増加していた。一方、TGFa、TNNI2、FGF1、TNMD、レプチン、CXCL12のmRNAが減少していた。また、リンパ管新生因子のFOXC2、PROX1、FGF2も減少していた。そこで、遺伝的に種々の因子の欠損が作成されているマウスにおいて、皮膚創作成後の血管新生因子のmRNAを検討した。特に、皮膚では時間遺伝子のmRNAの日内変動リズムが存在していることが報告されているため、時間遺伝子のPER2ミュータントマウスとそのコントロールマウスを用いて、健常皮膚と創部における血管新生因子のmRNAの日内変動を検討した。 その結果、PER2依存性、及び非依存性の皮膚及び創部の血管新生因子mRNAの日内変動が観察され、血管新生因子mRNAの日内変動メカニズムについて、新しい知見が得られた。 また、マウスの皮膚創における血管新生の過程を、組織切片のCD31免疫染色により定量化することを検討中である。
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