研究課題/領域番号 |
15K08889
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
小川 匡之 愛知医科大学, 医学部, 講師 (50559937)
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研究分担者 |
財津 桂 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (30700546)
石井 晃 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30252175)
妹尾 洋 愛知医科大学, 医学部, 教授 (50236113)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自然毒 / GC-MS/MS / LC-QTOF-MS |
研究実績の概要 |
ヤドクガエル由来のバトラコトキシンはフグ毒であるテトロドトキシンと並ぶ猛毒であるが、その毒性発現についての知見は決して多くはなく、本研究の対象毒物とする事は重要であると考えられる。 バトラコトキシンの代謝プロファイリング解析に向け、まず、LC-MS-MSを用いたバトラコトキシンのラット血漿中濃度測定法を検討し、確立した。致死量投与後の血漿中バトラコトキシンを定量することが可能となり、その結果を論文として報告した。しかし、低濃度投与時には測定が困難であり、バトラコトキシン投与時の代謝プロファイリング解明の必要性が一層強く示唆された。 さらに、新規に導入されたGC-MS/MSを用いた血漿中代謝物分析を行った。致死量のバトラコトキシン投与後の血漿中代謝物の生成と、低濃度投与後の血漿中代謝物の経時変化について解析を行った。部分最小二乗判別分析などの多変量解析を行い、いくつかのバイオマーカー候補代謝物が提示された。それらの候補代謝物の代謝系での役割から、バトラコトキシンの毒性発現機序について考察を進めている。また、実験時に同時に採取した肝臓、腎臓から代謝物を抽出し、測定する手法を検討している。今後、LC-Q-TOF-MSを用いた臓器内酵素タンパクの比較定量実験を行い、さらに臓器内代謝物測定も行うことで、毒物の代謝経路、臓器への影響、毒性発現機序の解明など、バトラコトキシン投与時の代謝プロファイリング解明へ向けて、より詳細な解析を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LC-QTOF-MSの運用上の問題により酵素タンパク測定が行えなかったが、所属講座にGC-MS/MSが導入され、代謝物測定に関してはデータの蓄積が進んでいる。今後LC-Q-TOF-MSを用いた臓器内酵素タンパクの比較定量実験を行うことで、より詳細な解析が進められると期待している。
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今後の研究の推進方策 |
バトラコトキシン投与ラットは血漿採取時にあわせて肝臓、腎臓も採取している。LC-Q-TOF-MSを用いた臓器内酵素タンパクの比較定量実験を行い、さらにGC-MS/MSを用いた臓器内代謝物測定も行うことで、バトラコトキシン投与ラットの代謝プロファイリングのより詳細な解析を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
LC-QTOF-MS装置の運用状況の関係で、酵素タンパク測定が計画通りに行えなかった。酵素タンパク測定のiTRAQ試薬は高価で、その実験に備えて予算を計上していたため、使用額にその差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度となりLC-QTOF-MS装置が正常に運用できる状況となったため、今後、昨年度実施できなかったiTRAQ試薬を用いた酵素タンパク測定を行う予定である。
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