研究課題/領域番号 |
15K08892
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
松末 綾 福岡大学, 医学部, 講師 (70309920)
|
研究分担者 |
原 健二 福岡大学, 医学部, 講師 (00090738)
ウォーターズ ブライアン 福岡大学, 医学部, 助教 (00609480)
久保 真一 福岡大学, 医学部, 教授 (10205122)
柏木 正之 福岡大学, 医学部, 准教授 (70301687)
|
研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
|
キーワード | 乳幼児突然死 / 遺伝性致死性不整脈 / 先天性脂肪酸代謝異常症 |
研究実績の概要 |
乳幼児突然死症例11例について、遺伝性致死性不整脈の原因遺伝子であるSCN5A (Sodium channel, voltage-gated, type V, alpha subunit)、RYR2 (Ryanodine receptor 2) 遺伝子並びに先天性脂肪酸代謝異常症の原因遺伝子であるCPTII (Carnitine palmitoyltransferase II)、VLCAD (Very long-chain acyl-CoA dehydrogenase) 遺伝子の変異を探索した。 SCN5A並びにVLCAD遺伝子は、それぞれのエキソンを増幅するようにプライマーを設計し、PCRで増幅後、ダイレクトシークエンス法で翻訳領域の変異を探索した。RYR2遺伝子は、3つのhot spot regionのエキソンを増幅するようにプライマーを設計し、PCRで増幅後、ダイレクトシークエンス法で変異を探索した。CPT II遺伝子は、既報告の方法に従い、全てのエキソンの変異を探索した。 11例中4例において、SCN5A遺伝子にヘテロ接合体変異R1193Qが認められた。RYR2遺伝子にヘテロ接合体変異N4111H並びにK4392Rが1例ずつ認められた。CPTII 遺伝子では、1例においてヘテロ接合体変異 F352Cを認めた以外は活性変化を伴わない変異であった。VLCAD 遺伝子に活性変化を伴う変異は認められなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
乳幼児突然死症例について、遺伝性致死性不整脈と先天性脂肪酸代謝異常症の原因遺伝子の変異を探索し、いくつかの変異を認めた。しかし、まだ一部の遺伝子の検査にとどまっているため、今後より多くの原因遺伝子を調べる必要性があると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は乳幼児突然死症例について、より多くの遺伝性致死性不整脈並びに先天性脂肪酸代謝異常症の原因遺伝子の変異を探索していく。剖検例から検出された変異について、既報告の変異か否か、健常人にどの程度認められるかを明らかにする。新たな変異であれば、タンパク構造からその変異の影響を考察することで、剖検例の所見とあわせ、遺伝子変異の死因への影響を考察する。さらに、剖検例から検出された変異について、簡便な操作で迅速且つ高精度で変異を判定する方法を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子変異探索方法構築の遅れにより、使用試薬量が当初見積もりより少なくなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度実施予定の研究と合わせて、本年度予定していた研究の残りを実施する予定である。したがって、次年度は本年度繰り越し額および次年度使用予定額の全額を使用する計画である。
|