研究課題/領域番号 |
15K08893
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
金涌 佳雅 日本医科大学, 医学部, 講師 (80465343)
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研究分担者 |
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 助教 (30165162)
佐藤 格夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30409205)
小池 薫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10267164)
金武 潤 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 教授 (90326661)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | けいれん / ペンチレンテトラゾール / 死後髄液 / NMR |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究実績は、次のものが挙げられる。 【ペンテトラゾール(PTZ)誘発kindlingモデルラット作成】SD雄ラット(7週、290g前後)を毎日12回、PTZを腹腔内投与し、kindlingモデルを作成させた。【けいれん誘発実験】(1)で作成したモデルラットと対照ラットとしてのSD雄ラットと、腹腔内投与する薬物の種別に応じて、次の4群に分類した(a)kindling+PTZ(n=10)、(b)kindling+NS(n=10)、(c)対照+PTZ(n=10)、(d)対照+NS(n=10)。薬物を投与後、5分間、ゲージ内で行動やけいれん症状を観察し、ビデオでも撮影した。【安楽死と試料採取】5分間の観察後、ラットを専用保定器に入れ密封後、炭酸ガスを急速注入し、安楽死させた。数分後、死亡を確認後、後頭部皮膚を切開し、27ゲージ針を用いて後頭下から髄液を50-100μL採取し、遠心分離した。また、胸腔を開検し、心臓血を2mL前後採血し、血清分離した。最後に、潅流固定させた後に、断頭し全脳を摘出した。【エソグラム作成】けいれん誘発実験において撮影した複数方向のビデオ動画を編集し、全てのラット個体の行動やけいれん症状を秒単位で視聴・観察し、事前に定めたスコアに基づき点数化させた。横軸を時間、縦軸を点数としたエソグラム(行動目録)を作成し、けいれん潜時やけいれん発現時間などを集計した。【NMR分析】実験で採取したラット死後髄液の一部について、NNR計測を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおりの動物実験は、全て完了している。再実験を行なう可能性もあるが、これは平成28年度以降でも予定していることであり、本研究の動物実験については、順調な進展と評価する。動物実験より採取した試料のNMR計測は、現在も継続しており、一部の試料は計測待ちの状態である。しかし、計測達成の現状は計画当初の想定範囲内であり、平成28年度の前半にはスペクトル解析を完了できる見込みであることから、本研究のNMR計測については、おおむね順調な進展であると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては下記の事業を実施する予定とする。 【kindlingモデルの検討】(1)動物実験の際に採取したラット脳の病理組織標本を作成し、PTZ反復投与による海馬の神経細胞の傷害レベルを評価し、kindlingモデルが適切に作成されていることを確認する。(2)動物実験の際に採血したラット心臓血を検体として、血中NSEを定量し、PTZ反復投与による神経細胞の傷害レベルを評価する。 【NMR計測・解析】未測定分の髄液試料について早急にNMR計測を完了し、全てのNMRスペクトルデータについて解析する。解析に際しては、平成27年度の動物実験で作成したエソグラムを参照し、けいれん症状とスペクトルデータの関連付けが可能かを検証する。 【動物実験の再実施の企画】NMRデータの解析により、再実験が必要と認められた場合は、平成27年度に実施したものと同様の動物実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験の費用は、モデル動物の作製と病理組織標本の作製の予算として計上していた。ただし、平成27年度では病理組織標本の作製が完了しなかったことから、平成27年度分の支出額が予定より低くなったたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
上記で記載した病理組織標本の作製を完了させる。その他、採取した髄液試料のNMR計測・解析を遂行するため、これに関連する費用を支出するが、解析が迅速に進められるようにプログラム等の改良に関わる予算も、必要に応じて支出する。
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