研究課題/領域番号 |
15K08893
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
金涌 佳雅 日本医科大学, 医学部, 講師 (80465343)
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研究分担者 |
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 助教 (30165162)
佐藤 格夫 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30409205)
小池 薫 京都大学, 医学研究科, 教授 (10267164)
金武 潤 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 法医学, 教授 (90326661)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | けいれん / ペンチレンテトラゾール / 死後髄液 / NMR |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究実績としては、次のものが挙げられる。【エソグラム解析】ペンチレンテトラゾール(PTZ)を投与させた「けいれん誘発実験」で、ラットのけいれん症状などを撮影した複数方向のビデオ動画を引き続き編集し、平成27年度で作成したエソグラム(行動目録)について、更に詳細に検討し、多変量解析などで参照しやすいようにグラフを再作成した。【NMR計測】けいれん誘発実験により採取したラット死後髄液のNMR計測を開始し、計測が完了したサンプルした分から解析をはじめ、スペクトルデータを取得した。各群のスペクトルデータは目視上、直ちに識別が可能なピークの特徴が認識することはできず、多変量解析の必要性が認められた。【多変量解析】各群を識別するためのNMRデータの多変量解析についての予備解析として、主成分分析(PCA)、部分二乗最小回帰(PLS-R)、主成分回帰(PCR)などについて実施し、本解析に向けて解析条件の検討を実施した。【病理組織検査】けいれん実験で採取した全脳をホルマリン固定させ、海馬領域の断面で切り出し、病理組織形態異常を観察するためヘマトキシリン・エオジン染色と、けいれんによって発現した神経細胞(ニューロン)のアポトーシスを可視化するためのTUNEL(TdT-mediated dUTP nick end labeling)染色標本を作製した。平成28年度末現在、NMR計測と病理組織の鏡検を鋭意進行させており、平成29年度の研究計画として継続する。【関連研究の論文発表】本研究の学術的実績の知見も基にした研究成果について論文としてまとめ、学術雑誌に投稿し掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NMR計測の計画は、当初の予定と比べて若干遅延はあるものの、病理組織検査は順調に進めることができ、また多変量解析に向けた解析環境は十分整備させることができた。NMR計測が完了すれば、ただちにNMR計測値の数値化処理、多変量解析の過程に進めることが可能であり、これらの状況から、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展しているものと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
けいれん実験により採取した死後髄液でまだNMR計測できていない分について、優先して計測を行ない、NMR計測実験を完了させる。次いで、NMRデータの数値化処理と多変量解析を実施すると共に、脳組織の病理組織所見の把握に努める。これらを元に、けいれん群と対照群の識別が可能な多変量解析モデルの作成を図り、必要に応じて、識別能向上のためのモデルのブラッシュ・アップを推進する方策とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
脳脊髄液のNMR計測を当該年度進めていたが、ラットから採取した脊髄液であるため、その検体量が微量であった。そのため、計測に時間を要することとなり、当初予定していた計測が完了できなかったことから、計測と解析に関する一部の経費が平成28年度に支出することがなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
NMR計測に必要な経費を支出する。研究代表者あるいは研究分担者間で解析結果の検証が円滑に実施できる経費を支出する。解析の検証により、動物実験の再実験が必要な場合、追加分の動物、計測、解析費用を支出する。けいれん動物の形態評価のためMRI等の画像検査に必要な費用を支出する。また解析プログラム等の改善に必要な経費も必要となる場合も考えられる。これらの研究が滞りなく実施できるように研究補助員の雇用に関わる経費の支出も計画している。
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