研究課題/領域番号 |
15K08903
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
田辺 公一 名城大学, 薬学部, 准教授 (30709704)
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研究分担者 |
菓子井 達彦 富山大学, 大学病院, 特命教授 (00313619)
梶浦 新也 富山大学, 大学病院, 特命助教 (70456383)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 倦怠感 / カルニチン / シスプラチン / 化学療法 / がん / 支持療法 / 緩和ケア / 尿細管障害 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、1)シスプラチン投与により血中カルニチンが有意に低下するかどうかを定量的に確認する事(非介入・観察研究)、および2)シスプラチン投与を受けて血中カルニチンが低下した患者に、カルニチンを投与することで倦怠感が軽減するかどうかを検証する事(介入研究)である。 平成27年度は1段階目にあたる観察試験を実施し、シスプラチン投与によりカルニチンが尿中を通じて大量に漏出すること、この漏出は尿細管障害のマーカーであるβ2-ミクログロブリンの上昇と並行して推移することから、尿細管障害による漏出である事を明らかにした。逆に、初回投与時には、血中カルニチンは一時的に上昇することも明らかにし、倦怠感との関連やカルニチン補充療法における補充量を決定するためには、血中カルニチン濃度ではなく、尿中喪失量を目安とした方が良いことを突き止めた。さらに、体内からのカルニチン喪失と共に患者が感じる倦怠感が増悪し、1週間を経ても元の状態までは回復していない事を、FACIT-F質問票を用いて明らかにした。この結果を基にして、カルニチン投与を伴う介入試験(非盲検・ランダム化比較試験)の計画を立案し、プロトコルや患者同意書及び同意説明書などを作成・ブラッシュアップして倫理審査委員会(富山大学附属病院)に提出・承認を得た。 これらの平成27年度までの研究結果は国内外の学会・研究会にて発表を行った。また、論文として投稿し、現在は審査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた第1段階目の観察試験が終了し、第2段階目の介入試験のプロトコル作成と倫理審査委員会への申請・承認を得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、カルニチン投与(補充)を伴う介入試験を実施する。平成28年度末~平成29年度第1四半期をめどに症例を集積し、統計学的解析と考察を行う。得られた成果は、適宜学会などで発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画以上に順調に症例登録が進んだ場合を想定して、カルニチン測定費を多めに計上していたため。
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次年度使用額の使用計画 |
計画通り、平成28年度よりカルニチン投与試験が開始となるため、カルニチン測定費に充当する。
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