研究課題/領域番号 |
15K08911
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹屋 泰 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70590339)
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研究分担者 |
樂木 宏実 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20252679)
杉本 研 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20437403)
里 直行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (70372612)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知症 / アルツハイマー病 / 脳血管障害 / FAST分類 / ADL |
研究実績の概要 |
平成27年度には、38名の認知症患者と8名の軽度認知機能障害患者をエントリーした。合計46名のうち、30名がアルツハイマー病であり、その内訳は、①アルツハイマー型認知症患者18名、②脳血管障害を伴うアルツハイマー型認知症8名、③アルツハイマー型軽度認知機能障害3名、④脳血管障害を伴うアルツハイマー型経度認知機能障害1名であった。 これら全員に対し、所要時間120分程度のインタビュー形式による詳細な認知機能評価、ADLの評価、採血検体による動脈硬化のリスクファクター、内分泌・代謝異常、栄養障害の評価、頸動脈エコーによる動脈硬化の現状評価、頭部MRIのVSRADによる海馬傍回の萎縮の程度の数値化と脳血管障害の評価、筋量算出(Skeletal Muscle Mass Indexの推定式を用いる)、筋力測定(膝伸展筋力、握力)、バランス機能測定(片脚立ち時間、重心動揺検査)、パフォーマンス能測定(10m歩行速度、3m timed up & goテスト)と、超音波を用いた骨格筋評価法により、下腿筋(ヒラメ筋(遅筋)、前脛骨筋(速筋)、腓腹筋(混合筋))の筋厚、筋輝度を測定した。 引き続き1年ごとに同様のフォローを続け、脳血管障害がアルツハイマー病のADLに与える影響について経過を追跡していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度の当科もの忘れ外来の新患患者は、平成26年度以前(平均MMSE23.8点)に比し、重症度が悪化していた(平均MMSE20.2点)。また、平成26年度以前の新患患者の大部分がアルツハイマー病であり、生理的もの忘れも2割程度認めたが、平成27年度はレビー小体型認知症や脊髄小脳変性症、進行性核上麻痺などが増加し、病型が非常に多様であった。 安定した紹介新患患者を確保するために、近隣の医師などを対象に定期的な病診連携の会などを行ない、また、新患枠を増設し予約待機期間を大幅に短縮した結果、当科もの忘れ外来の紹介患者数は飛躍的に増加したが、患者層も変化してしまった。以前は当科が内科を標榜していることから、他科と比べ受診の抵抗感が少なく、「もの忘れがちょっと気になる」といった軽度の認知機能低下患者が多く紹介されていたが、平成27年度は患者数の大幅な増加とともに、アルツハイマー病の比率が減少し、平均MMSEが3点以上悪化していた。これらの患者においては、周辺症状が出現していることや、スタディーパートナーの介護負担度が高いことなどから、同意取得率が低下し、エントリー数が予想より下回ってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
もの忘れ外来の新患患者の数は飛躍的に増加したが、重症度が悪化し病型分類が変化したことは予想外であった。人員に限りがあるため、これ以上の新患枠を増設するのは困難であるが、これまで以上にできる限り丁寧な診察を心がけ、試験の参加に同意していただく症例を増やしていく。 また、当院と近隣連携医師との間で用いるケアパスノートが、試験的にではあるがまもなく完成予定であり、効率よくデータを蓄積するとともに、地域医療に貢献できるように順次改訂し発展させていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
安定した紹介新患患者を確保するために、近隣の医師などを対象に定期的な病診連携の会などを行ない、また、新患枠を増設し予約待機期間を大幅に短縮した結果、当科もの忘れ外来の紹介患者数は飛躍的に増加したが、患者層が変化してしまった。以前は当科が内科を標榜していることから、他科と比べ受診の抵抗感が少なく、「もの忘れがちょっと気になる」といったアルツハイマー型の軽度認知機能低下患者が多く紹介されていたが、平成27年度は患者数の大幅な増加とともに、アルツハイマー病の比率が減少し、平均MMSEも3点以上悪化していた。これらの患者においては、周辺症状が出現していることや、スタディーパートナーの介護負担度が高いことなどから、同意取得率が低下し、エントリー数が予想より下回ってしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
病型分類や重症度が変化したことは予想外であったが、紹介新患患者が大幅に増加したことは収穫である。アルツハイマー病とともに、大幅に増加したレビー小体型認知症患者の臨床経過についてもフォローしていく予定である。 また当科が試験的に作成した近隣医師とのケアパスノートを用いて、より効率的にデータ収集を行うとともに、地域医療にも貢献したい。
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