研究課題/領域番号 |
15K08913
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
武田 昌生 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (80747113)
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研究分担者 |
山本 浩一 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00528424)
樂木 宏実 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20252679)
神出 計 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80393239)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知症 / miRNA / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
関西健康長寿(SONIC)研究では開始時70歳、80歳、90歳の各500人について3年ごとに認知機能評価テストであるMoca-Jテストを含めた精神、身体機能検査を施行している。2016年には70歳患者の二回目の調査(76歳時)を施行し2017年度には80歳患者の二回目の調査を開始する予定になっている。。本研究ではまず開始時80歳を対象にMoca-JスコアがMCIに分類される19点以上25点以下の参加者を抽出した。開始時に認知症、がん、脳卒中、甲状腺疾患、パーキンソン病関連疾患と診断されている参加者は対象から除外し計113人をmiRNA測定の対象とした。3年後のMoca-Jスコアと比較したところ維持・上昇群は65人低下群を49人であった。また、維持・上昇群間で性別、生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病)の有無等の背景因子に大きな違いを認めなかった。Custom miRNAカードを用いて行うmiRNAの検討項目は最終的にmiRNAに関しては過去の文献より血漿(清)中濃度と認知症との関連が報告されているものの中から、中枢神経系での役割が確認されている17種類を選択し、コントロールのhousekeeping遺伝子4種類と溶血マーカー1種類、補正用のspike inを1種類選択した。現在、real time PCRによる解析を進めている。また大阪大学医学部付属病院のアルツハイマー病患者に関してはMRIやSPECTによる画像検査に加え、脳脊髄液のAβやTau濃度の測定も行っており、今後SONIC検査で変化を認めた血漿中miRNAの有用性について検証を行う事が可能となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SONIC研究の血漿サンプルからのmiRNA抽出とreal time PCR実施完了に遅延が生じている。当初予定の方法で行ったreal time PCRでは検出感度以下のサンプルが多かったため、中断したためである。そのためreal time PCR前にあらかじめ増幅する方法に切り替え検出効率の上昇を認めた。その解決のため時間を要したが、現在は改変した方法を用いた検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
上述の方法によりSONIC検体を用いたRealtime PCRを開始しており、解析可能なデータを得ている。終了次第データを解析し早期に論文化を進めていく。またSONICでは2017年に80歳の二回目の調査が行われる予定であり、同調査で認めたMoca-J検査の結果についても解析し報告する予定にしている。当初の予定では70歳のサンプルを用いた検証を行う予定であったが、血漿サンプルの質の不良を認めたため解析困難と判断し検討を中止する。一方、大阪大学付属病院アルツハイマー病患者のデータ収集に関しては症例が大幅に蓄積されており、SONIC検体を用いた検討で認知機能低下との関連が明らかになったmiRNAを用いて有用な検討を行う事が可能である。研究に必要な人員や機器は準備できている。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在までの進捗状況に記した通り、H28年度に完了予定であったSONICサンプルからのmiRNA抽出やreal time PCRが完了していない。当該実験にかかる経費を次年度に持ち越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、miRNA抽出やreal time PCRに関しては検討を開始しており、順次試行していく。大阪大学医学部付属病院アルツハイマー病患者サンプルを用いた検討に関してはSONICでの結果が出次第施行可能であり、推進する予定である。
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