研究課題/領域番号 |
15K08922
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
阿部 航 大分大学, 医学部, 准教授 (80336297)
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研究分担者 |
宮崎 英士 大分大学, 医学部, 教授 (00264333)
石井 稔浩 大分大学, 医学部, 助教 (00528911)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 禁煙 / 骨粗鬆症 / オステオポンチン / TRACP-5b |
研究実績の概要 |
今回の研究で当初、食欲中枢抑制ホルモンの下流にある、レプチンの受容体を有し、肺気腫の病態に大きな役割を果たしていると考えられている「オステオポンチン」とメタボリック・センサーともいわれる細胞内シグナル「アデノシンー1ーリン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)」に着目し、レプチンやGLPー1の作用点を明らかにしたいと考えていたが、AMPKが測定困難となったことから、レプチンやGLP-1の測定は行わず、肺気腫と骨粗鬆症と喫煙の関係を明らかにすることへと方針を変更した。 禁煙外来を受診した患者のうち、ニコチン依存症と診断され、本研究に自由意志で参加してくれた被験者について、禁煙治療(バニクレイン(商品名:チャンピックス)ないしはニコチネルTTS(商品名:ニコチンパッチ)を行った。それぞれについて禁煙前、禁煙後1、2か月後に食欲、体重変化、検体採取を行った。平成28年4月1日から平成29年3月31日までの12ヶ月でリクルート数は30例、うち5例が不適格例となり、25例から同意を得ることができた。途中、重篤な疾患が判明し治療が中断した者、転勤に伴いうち治療が中断した者など脱落例が3例、22例が計画通りに治療を終えることができた。 禁煙の結果、体重増加量は平均してプラス1.7Kgの増加を認めた。また症例毎に得られた検体は凍結保存して、順次測定を行なっている。肺気腫の病態に関係する「オステオポンチン」、血清骨吸収マーカーである「TRACP-5b、血清NTX」、骨形成マーカーである「骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)」、骨マトリッックス・マーカーである「低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)」などを測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力施設を追加したことで、エントリー数の確保に目処がたった。これまでに16ヶ月で42例をリクルートし、うちエントリーできたのは34例であり、これまでに20例が禁煙治療を完遂できた。予定数の8割強をリクルートできたが、8例が不適格であり、治療成功例が20例程度にとどまっている。エントリー時に断られたこと、脱落者が8例と思いの外、多かったことが原因として挙げられる。その原因として、途中で悪性腫瘍が発見され、その結果治療が優先されたもの、職場の異動や多忙が理由で通院ができなくなったもの、などが挙げられる。 また測定試料入手の困難からAMPKの測定を諦めたことから、当初の予定を変更して、オステオポンチンと血清TRACP-5、NTX、BAP、ucOCなどを測定する方向に切り替えた。測定項目を再検討するのに時間がかかったことから、若干、測定スケジュールに遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
脱落者が想定よりも多かったものの、新しく施設を追加したことからリクルート数、エントリー数を確保できる目処がついたと考えている。また測定項目を肺気腫の病態に関係する「オステオポンチン」と骨粗鬆系マーカーに絞り、血清骨吸収マーカーである「TRACP-5b、血清NTX」、骨形成マーカーである「骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)」、骨マトリックス・マーカーである「低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)」などを測定しているが、今後スピードアップすることとした。 今後はオステオポンチン、骨吸収マーカーと形成マーカーとの相関、骨マトリックスマーカーとの関連について、検討を加える予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
AMPKの想定を断念し、代わりに骨粗鬆症系マーカーの測定をすることとした。この測定項目の変更を行ったことで計画に遅れが生じたため、予定よりも測定する検体が少なくなった。これにより予算の執行額が予定を下回ったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、オステオポンチンや骨粗鬆系のマーカーである、TRACP-5、NTX、BAP、ucOCなど測定項目を増やしたこと、測定のスピードを上げる予定である。
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