Alzheimer型認知症患者を対象に,脳MRIにおける頭蓋内脳動脈の血管径を計測し,脳萎縮度を示すパラメータとの相関を統計学的に検討した.脳萎縮度のパラメータにはVSRADにおける内側側頭部関心領域内萎縮度,全脳萎縮領域の割合を用いた.血管径と同一時期に評価した脳萎縮度の各パラメータとの間にはいずれも有意な相関はなかった.一方,経過を追って脳MRIを撮像した例において上記脳萎縮度の年間増加率を算出し脳動脈の血管径と比較したところ,内頸動脈の血管径との間にいずれも有意な相関を認めた.頭蓋内脳動脈の拡張性変化が脳萎縮ひいては認知症の進行に影響する可能性が示唆された.
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