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2015 年度 実施状況報告書

酸化ストレス増強に基づく新たな低侵襲性急性白血病治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K08936
研究機関東海大学

研究代表者

川田 浩志  東海大学, 医学部, 教授 (20276801)

研究分担者 金子 光代  東海大学, 医学部, 研究員 (40738598) [辞退]
安藤 潔  東海大学, 医学部, 教授 (70176014)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード高濃度ビタミンC(L-AA) / 鉄 / deferasirox
研究実績の概要

高濃度ビタミンC(L-AA)は、in vitroでは過酸化水素を発生させて多くの腫瘍細胞に優れた抗腫瘍効果を発揮するが、臨床的には効果が発揮されない場合が多く認められる。この乖離が鉄イオン濃度の差異によっておこる可能性を考えて今回の実験を行った。

まず、白血病細胞を皮下に移植したモデルマウスを用いて検討した結果、L-AAとともにfesin(鉄)を投与することで、L-AAの抗腫瘍効果はほとんど認められなくなることがわかった。一方で、鉄キレート剤であるdeferasiroxを併用すると、腫瘍の増大がさらに抑制された。このことから、鉄が過剰に存在すると、Fenton反応が起こって過酸化水素の分解が促進されることで、ビタミンCの抗腫瘍効果が抑制されるのではないかと考えられた。

もともと骨髄には鉄が多く含有されていることに加えて、さらに血液腫瘍患者においては頻回な輸血によって鉄過剰になっていることが多い。したがって、白血病患者では鉄結合蛋白に結合していないfreeの鉄が骨髄中で増加しているためL-AAが臨床的に十分な効果が得られない可能性が示唆された。そこで、現在、体内のフリー鉄含有量を減らす目的で移植2週間前から鉄キレート剤(deferasirox)を5日間/1週間投与し、さらに瀉血も行って鉄を枯渇させた免疫不全マウス(NOGマウス)に、ヒト白血病細胞を移植し白血病病態を再現した動物モデルを作成して、L-AAの効果を検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Deferasiroxによる体内鉄の除去を行う投与スケジュールやin vivo実験等の検討に時間が費やされたが、実験系も整ったので、今後は、計画どおりに研究を遂行する。

今後の研究の推進方策

今後は、in vitroにおいてもっとも抗腫瘍効果の得られた慢性骨髄性白血病に対するin vivoでの効果を中心に確認していく。
酸化ストレスの評価のみならず白血病細胞の生存・増殖やapoptosisに関連する一連の分子の動態を明らかにする。
抗白血病効果の得られる皮下移植の系と異なり、経静脈的移植の系で十分な抗白血病効果が得られない場合にも、分子動態の差異を観察して、抵抗性を示す分子的機序を明らかにする。
高濃度ビタミンC療法の有効性と限界性を明らかにするとともに、deferasiroxとの併用によって効果の増強が得られるか検討する今回の研究成果は、臨床の現場にも大きなインパクトを与えるものと考える。

次年度使用額が生じた理由

定価より安く納品されたものが多かったため。

次年度使用額の使用計画

今後は、in vivoでの効果を中心に確認していくことと、
酸化ストレスの評価のみならず白血病細胞の生存・増殖やapoptosisに関連する一連の分子の動態を明らかにするために使用する。

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公開日: 2017-01-06  

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