研究課題
私たちは世界初のダブルブラインド鍼を開発し、この鍼を用いて肩こりに対する鍼のプラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)を行ったが、従来の包括解析によっては鍼の特異的効果は見出せなかった。しかし鍼による刺激感覚のインパクトは大きく、患者が鍼治療を本物と認識すると治療効果が大きくなり、偽物と認識すると小さくなる傾向が見られた。このことは、包括解析では患者由来のプラセボ効果やノセボ効果の影響を受け、実際の臨床で得られる治療効果を見逃す可能性があることを意味する。そこで本研究は、前述の研究と同様の方法による肩こりに対する鍼のRCTを行い、患者にその治療を本物、あるいは偽物と思わせることによって生じるプラセボ/ノセボ効果について検討し、実際の鍼治療の臨床現場において得られるリアリスティックな治療効果に迫ることを目的とした。当初は、ダブルブラインド用の刺入鍼と圧迫鍼を用いて4群の比較を行う予定であったが、鍼の特異的効果やプラセボ/ノセボ効果をより明らかにするためには、ダブルブラインド用の非接触鍼を加えた6群で比較した方が良いと判断し、計画を変更して実施した。令和元年度は肩こり患者120名のRCTのデータ整理と結果解析を行い、論文を作成した。また本研究の基礎となるダブルブラインド用鍼を用いた研究や、肩こりの原因となると考えられている筋活動の異常や血流の変化に関する研究、肩こりの質的調査などについても、医療専門雑誌や関連の学会に発表した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (6件)
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