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2016 年度 実施状況報告書

食道潰瘍の創傷治癒から観た新たなバレット食道発生の機序について

研究課題

研究課題/領域番号 15K08945
研究機関東北大学

研究代表者

淺沼 清孝  東北大学, 医学系研究科, 助教 (10431553)

研究分担者 飯島 克則  秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60375003)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード一酸化窒素 / 組織収縮 / 創傷治癒 / びらん性食道炎
研究実績の概要

原因不明であるバレット食道発生における機序に、びらん性食道炎の創傷治癒、特に組織収縮が影響していると仮定し実験を進めた。過去に、当グループでは動物を用いたバレット食道発生モデルで、食道内腔で発生する高濃度の一酸化窒素(NO)が、バレット食道発生を促進することを報告している。そこで食道線維芽細胞株を用いてNO曝露におけるcollagen-based wound contraction assayを施行した。NOドナーであるNOC9はNO-probe(WPI)にて、実際のヒトにおける食道内腔腕発生する濃度と同程度の約30mM発生することを確認した。pH5.5 酸性胆汁酸溶液の曝露は非投与群と比較し優位に組織収縮を認めたが、NO曝露によって著名に組織収縮の抑制を認めた。
NOは筋収縮抑制作用を有するが、食道線維芽細胞でも収縮抑制を惹起することを見出した。更にこのNOは傷害組織の収縮を抑制することで創傷治癒を遅延させる可能性が考えられた。
現在、ラットバレットモデルを作成し、1)亜硝酸投与による食道胃接合部でNO発生群、2)
コントロール群と発生率の差を検討中である。バレット発生に8週間要するので検討に必要な匹数に達してはいないが、NO発生群で食道潰瘍の治癒遅延とバレット粘膜の発生が多い傾向である。NOが食道偏平上皮の創傷治癒を遅延させることで同部位が円柱上皮に置換されやすい状態になっている可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

1. ヒト食道線維芽細胞の培養が非常に困難であったが、培養方法の見直しで現在は安定した培養が可能となった。
2. ratバレット食道モデルを作成しているが、手術手技の確率が難しかった。現在はある程度安定した手術が可能となった。
1.2ともにテクニカルな問題であり、実験手技の見直しとトレーニングにより克服している。

今後の研究の推進方策

1. 食道線維芽細胞に生理的範囲内のNOを曝露し筋線維芽細胞への分化抑制を証明する。
2. ratバレット食道下の間葉系組織での線維芽細胞活性低下をレーザーキャプチャーを用いて組織採取しalpha-SMAの発現をPCRにて測定する。
3. 3D cultureを作成し線維芽細胞の収縮抑制をRhoキナーゼをsiRNAを用いてノックアウトすることで導入し、バレット食道発生に関与すると報告されているSonic Hedgehoc シグナルとBMP4シグナルの活性化を測定する。

次年度使用額が生じた理由

3D cultureを用いた実験を予定していたが、培養細胞の安定した継代樹立に時間を要したため次年度に持ち越しとした。

次年度使用額の使用計画

バレット食道粘膜の間葉系組織の影響を検討するためと、間葉系組織の活性化阻害が上皮細胞に与える影響を検討するため、1)ラットバレット食道動物モデル作成と3D cultureの構築のため試薬を購入する。

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公開日: 2018-01-16  

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