研究課題/領域番号 |
15K08951
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
村上 雅尚 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (80571017)
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研究分担者 |
大畑 雅典 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (50263976)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Nm23-H1 / スキルス胃癌 / Asef2 / Cdc42 / cell migration |
研究実績の概要 |
今年度は、これまで申請者が準備段階でスキルス胃癌細胞株より見出した癌転移抑制分子Nm23-H1のパートナー分子のうちSPATA13(Asef2)分子とそのファミリー分子Asef1分子にについて物理的、生化学的性状における影響の解析を行った。標識付きNm23-H1およびAsef2, Asef1各遺伝子発現ベクターを用いて、in vitro およびin vivoにおいて種々の検討を行い分子間の結合性、細胞内局在が一致することを確認した。また、高運動性を示す細胞へのAsef2, Asef1遺伝子の単独導入による運動能増強効果は弱く、一方でNm23-H1は強い運動抑制能を示した。Asef2-Nm23-H1, Asef1-Nm23-H1の組み合わせによる共発現では強い運動能抑制効果を認め、Nm23-H1の運動抑制能・癌転移抑制能を細胞レベルでの確認が得られた。しかし、Nm23-H1単独発現時と比べると運動能の回復を見たことから完全抑制ではなく、Asef2, Asef1の制御する他のシグナル経路の存在が示唆された。 Asef2, Asef1の活性化因子であるAPC発現下では、Nm23-H1による細胞運動抑制からの強い回復を確認した。生化学的機能解析においてAsef2, Asef1はともに低分子G蛋白質Cdc42を活性化したが、Nm23-H1の共発現下ではCdc42の活性が抑えられた。 内在性Asef2発現胃癌細胞株はCdc42が活性化されており、Nm23-H1の導入により活性が大きく抑制された。つまり、Nm23-H1によるAsef2細胞運動能の抑制・癌転移抑制の作用点は低分子G蛋白Cdc42の活性制御であると示唆された。現在これらの結果は論文投稿へ向け準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高知大学から所属機関を異動することとなり、移動に関する時間がとられてしまったこと、投稿予定雑誌の規定の変更から修正等に時間がとられており若干の遅れを生じた。しかし、現段階での共著者間での話し合いで追加実験は済ませてあり、おおむね順調と考える。
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今後の研究の推進方策 |
移動先の機関は機器の充実度が低く、設置されていても20年前の機器であることから、異動前の高知大学を含め近隣の研究機関へ協力を求める予定である。また、解析に必要な機器の使用に出向くつもりである。その際、講義等の合間を縫っての訪問となるため、計画から遅れを生じる可能性があるが、協力研究者及び研究分担者に依頼することで遅れを最小限になるよう対応する。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関の異動に伴い、物品購入および人件費等において支出が減ったため次年度使用とした。
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次年度使用額の使用計画 |
異動先機関の機器充実度が低い為、機器購入に充てる予定。
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