研究課題
【目的】アニサキス症は、通常魚介類の生食後に激しい腹痛で発症する(劇症型アニサキス症)が、内視鏡検査で偶然発見される無症候例もある(無症候型アニサキス症)。近年アニサキスの種が分類可能となり、日本では主にAnisakis simplex sensu stricto (以下A. simplex ss)、Anisakis pegreffii (以下A. pegreffii)が分布している。腹痛をきたす劇症型はA. simplex ssで発症するという、種に依存するという説がある一方、症状の有無は、感染回数が関与するという報告もあり、コンセンサスは得られていない。今回大分県、長崎県のアニサキス症患者を前向きに調査し、劇症型アニサキス症の病態形成のメカニズムを検証した。【検討1】大分県、長崎県のアニサキス症患者から内視鏡的に摘出した虫体の種を、PCR-restriction fragment length polymorphism(PCR-RFLP)法を用いて同定した。アニサキス種は、劇症型、無症候型に関わらず、A. simplex ss、A. pegreffiに加え、A. typicaが認められ、症状はアニサキス種に依存しないことが示唆された。また患者背景の調査では、劇症型の29%にアニサキス罹患歴があったが、無症候型には罹患歴はなかった。【検討2】サバから摘出した生きたアニサキスをBALB/cマウスの胃に感染させ、血清総IgE価と血清アニサキス特異的IgE価を測定した。単回感染での総IgE値は感度以下であったが、複数感染により、徐々に有意にIgE値は上昇した。アニサキス特異的IgE値も同様の結果が得られた。【結論】劇症型アニサキス症は、複数回感染により、アニサキス抗原に対する感受性が増加し、アナフィラキシーを引き起こし発症することが示唆された。
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