研究課題
これまで用いられているHelicobacter pylori (H. pylori)の検出法では時間的、費用的なコストに加えて不確実性が問題となっていた。これを解消すべく、本研究では唾液を用いた迅速かつ安価、確実なH. pyloriの検出法を開発することを目的としている。H. pyloriの菌株ATCC 43504のtotal DNA溶液をtemplateとし、TOYOBO KOD SYBER& qPCR Mixを使用しリアルタイムPCRでH. pyloriのウレアーゼ配列に対して検出を行ったところ、原液から1000倍までの希釈サンプルで検出可能であり、融解曲線も複数のピークが見られなかった。また、同様にH. pyloriの菌体毒素であるCagAの配列をターゲットとして検出を行ったところ、同様に単独ピークがみられた。これにより、ウレアーゼ、CagAの配列をターゲットとしたリアルタイムPCRの条件を設定可能であった。次に、臨床検体としてH. pylori感染が証明されているヒトの唾液を塗布した乾燥濾紙を用いてリアルタイムPCRを行ったところ、複数のピークが出現し、H. pyloriの同定が困難であった。現在、条件検討を繰り返し最適化を行っている段階である。
4: 遅れている
当初予定していた唾液を塗布した乾燥濾紙検体からの直接的なリアルタイムPCRでの検討が計画通りに進行していない。以前の検討で検出可能であったのはヒトの頬粘膜を塗布した乾燥濾紙検体上のDNAをターゲットとしていること、今回はヒトの唾液を塗布した乾燥濾紙上のH. pyloriのDNAをターゲットしているという差違が影響していると考えられる。
従来の報告では唾液からは解析に十分な菌量が得られるとされているが、本研究で検出を困難にしている原因としてH. pylori の菌量が報告ほど多くない可能性が挙げられる。現在、測定条件を調整中であるが、解析にばらつきが見られる場合(従来法との診断一致率が95%を下回る場合)は、検体を便乾燥検体、もしくは内視鏡下採取胃液に変更しておこなう。
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