研究課題/領域番号 |
15K08957
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
藤原 靖弘 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40285292)
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研究分担者 |
渡邉 俊雄 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (50336773)
富永 和作 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (80336768)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | バレット食道癌 |
研究実績の概要 |
胃内容物の食道への逆流による慢性炎症は、バレット食道を発生させ食道腺癌の発生母地となる。慢性炎症による発癌に細菌叢が関与していることや、逆流性食道炎やバレット食道患者では正常と比して食道細菌叢が変化していることが報告されているが、細菌叢が食道腺癌の発癌へ及ぼす影響についてはほとんど解明されていない。ラットモデルを用いて食道細菌叢の食道腺癌発癌への影響を検討した。7週齢の雄性Wistarラットに食道空腸吻合を行い、慢性的に胃十二指腸液が食道へ逆流する食道腺癌発生モデルを作成し、術後21週に通常の飲水を継続するコントロール群 (n = 21)と抗生物質を含む水を自由飲水する抗生物質群 (n = 22)に分け、術後40週に屠殺し、バレット食道および食道腺癌の発生率を組織学的に検討した。吻合部付近の食道よりDNAを抽出し、T-RFLP (Terminal Restriction Fragment Length Polymorphism Analysis)法を用いて細菌叢の解析を行った。その結果、バレット食道は全個体に発生していたが、食道腺癌の発生率は両群で有意差を認めなかった(コントロール群 89%、抗生物質群 71%、P = 0.365)。T-RFLP解析では両群で食道細菌叢は異なっており、抗生物質群でLactobacillalesの割合が減少しClostridium cluster XIVaおよびXVIIIの割合が増加していた。以上より、抗生物質による食道細菌叢の変化は食道腺癌の発生に影響を及ぼさないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物実験は概ね順調に進んでいる
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今後の研究の推進方策 |
ヒトの食道腺癌あるいは対照として食道扁平上皮癌や食道炎、正常食道組織を用いて、特異的な細菌が関与しているかどうかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
作製した動物で検討を行ったことと試薬は既存のものを用いたため
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は試薬など消耗品が多数発生する
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