機能性消化管疾患の一つである過敏性腸症候群の病態に、消化管末梢神経細胞内のPDE2Aの発現変化が関与しているのではないかと仮定し実験を行った。結果、過敏性腸症候群モデルマウスでは後根神経節内のPDE2AのmRNAは過敏性腸症候群マウスにおいて有意に増加していた。さらに、PDE2Aの阻害薬を前投与したところ、直腸バルーン伸展刺激に対する疼痛反応が抑制された。従って、一次知覚神経におけるPDE2Aが過敏性腸症候群の内臓知覚過敏の病態に重要な役割を果たしている可能性があり、PDE2AはIBSの腹痛に対する新たな創薬ターゲットとなりうると考える。
|