研究課題
本研究では、BRAF変異大腸がんの発がん過程に関与する、ある特定のmiRNA―シグナル伝達経路制御機構の詳細を解明すること、さらに、それにより大腸がんにおける新規治療標的分子を見出すことを目的とした。また、そうしたmiRNA群と新規治療標的分子が同定されたとして、その次世代治療予測バイオマーカーとしての、血漿miRNA発現量の測定が実現可能かどうかについて探索することを目的とした。まず、申請者らは大腸がん組織200例を用いた網羅的miRNA 発現解析により、BRAF変異大腸がん特異的に異常発現を示すmiRNA群を同定した。次に、BRAF変異陽性、KRAS/BRAF変異陰性例に対してmiRNAの網羅的発現解析と引き続きリアルタイムRT-PCR解析を行った結果、両群間で発現の異なるmiRNAを数種類選び出した。さらに、そのmiRNA群で最も発現変化量の大きい3種類のmiRNAのうち、miR-193a-3pが大腸がん細胞の増殖・浸潤においてがん抑制的に働くことをin vitroの解析にて初めて明らかにした。ここまでの成果をBMC Cancer誌に報告した(Takahashi H et al., BMC Cancer 2017;17:723)。さらに、その候補miRNAのがん遺伝子、がん抑制遺伝子としての詳しい機能を調べるために、ヒト大腸がん細胞でoverexpression、knockdownの系を用いて、網羅的miRNA発現解析、lncRNA解析、プロテオーム解析に加えて、細胞増殖、アポトーシス誘導、浸潤・転移などに関わる機能解析の実験を進行した。さらに、大腸がん患者の血漿試料の集積も進行している。今後、これらの解析により、miRNAやlncRNAが関与するシグナル伝達経路における、新規がん治療標的分子の開発、また治療予測バイオマーカーの開発につながる成果を得る予定である
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件)
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