研究課題
STNM01の炎症性腸疾患に対する粘膜治癒促進効果発現機序を明らかにするため、以下の研究計画・方法を平成27年度~29年度の3年間で実施する。1. CHST15遺伝子欠損マウスの急性・慢性DSS腸炎モデルにより、腸管局所での炎症、腸管上皮細胞再生、線維化作用に及ぼすCHST15/CS-E経路の役割を総合的に解析する(in vivo実験)。2. マウス・ヒト線維芽細胞と腸上皮細胞、およびリンパ球に対する抗CHST15 siRNAによる炎症、上皮再生、線維化作用に対する影響を細胞培養系で解析する(in vitro 実験)。3. クローン病患者および潰瘍性大腸炎患者の生検検体を用いて、腸上皮細胞および粘膜固有層浸潤細胞におけるCHST15と粘膜治癒に関わる因子の発現の相関を、蛍光免疫染色、qRT-PCR法および器官培養法にて検討する(臨床検体における観察)。平成27年度の研究実績の概要として、研究計画1に関しては、CHST15遺伝子改変マウスを共同研究者の愛知医科大学武内教授の研究室で繁殖しコロニーを増やし実験に使用できるよう準備を進めている。予備実験では正常B6マウスを用いた慢性DSS腸炎モデルに対してSTNM01投与を行い、慢性線維化腸炎の改善がみられることを確認した。線維芽細胞や高原線維が大腸で減少するのみならず、腸上皮細胞の再生も生じて潰瘍が改善していることを確認できた。研究計画2に関してはヒト線維芽細胞由来のCD-18Co細胞株を用いたin vitro実験を行い、STNM-1が線維芽細胞の活性化を抑え、コラーゲン線維産生を抑えることをmRNA、蛋白レベルで確認した。研究計画3に関しては実験準備中である。
2: おおむね順調に進展している
研究計画1~3のうち1,2に関しては実験計画を実施し、予備実験データがそろいつつあり、残り2年で実験を完了し結果をまとめることが期待できる。研究計画3に関しては、検体採取などの準備をしているところで、研究1年目の平成27年度内での開始ができなかったので、残り2年のうちに実施予定である。
研究計画1、2に関してはおおむね順調に計画が進行しているので、共同研究者のステリック再生医科学研究所米山医師、愛知医科大学武内教授らと連携を取りながらさらに実験を進めて実験を行うようにする。研究計画3に関しては、共同研究者の新潟大学医歯学総合病院の横山医師らと検体採取に関する準備を相談して実験が開始できるようにする。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件)
Cytokine
巻: 74 ページ: 305-312
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