研究課題/領域番号 |
15K08977
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
山崎 博 久留米大学, 医学部, 助教 (20529565)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | TRPレセプター / 神経ペプチド / 局所投与 |
研究実績の概要 |
動物実験においては、TRPチャネル作動薬+自己組織化ペプチド局所投与による腸炎モデルにおける効果、副作用の確認する目的のため、本年度は局所TNBS腸炎モデルラットを作成し、まずは、自己組織化ペプチド局所投与単体でのその効果を検討した。現在、薬剤投与部と非投与部にて炎症の程度、サイトカインの濃度、内視鏡所見、潰瘍面積、腸管組織炎症の程度、腸管上皮再生の違いや、再生や腸粘膜バリアに関わる因子を比較検討しており、次年度以降、TRPチャネル作動薬を加えた作用まで検討する予定である。 ヒト検体においては、IBD患者での、TRPチャネルファミリー、神経ペプチド(CGRP、ADM)の白血球除去療法前後での治療反応性等との関連の検索を行った。有効群では、有意な変化を認めており今後も症例数を増やしていく予定である。それに加えてIBD患者での、TRPチャネルファミリーの発現について検討した。疾患による違いや、疾患活動性や、治療反応性などとの検討を行っており、健常人 30名と、IBD患者 45名;潰瘍性大腸炎 30名(活動期20名、寛解期10名)、クローン病 15名(活動期7名、寛解期8名)の末梢血単核におけるTRPレセプターの発現の有無について検討した。健常人と比べ、潰瘍性大腸炎患者では末梢血単核中中のTRPV1,TRPV2の発現は低下していた。また、クローン病患者ではTRPV2の発現は低下しており、TRPV4の発現は上昇していた。今後症例数を増やす必要はあるが、TRPレセプター新たな診断マーカーとなり得ることが示唆された。今後活動期と寛解期を比較し検討を進めていく予定である。末梢血中のTRPレセプターの役割は十分解明されておらず、今後新たな治療標的として次年度以降さらに検討していく予定である。また他施設共同研究についても早期実現可能なように計画していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IBD患者検体の検討については、統計に耐え得る数に達するには、時間がかかり遅れている。また同時に並行しながら動物モデルでの検討を行っていく予定であったが、短期海外留学とその期間中に得た海外での新たな知見から計画の変更、追加を行なったため、また現在は回復したが自身の健康問題により予定よりやや遅れた。今後は実験の進行が遅れないようにするため、TRPチャネル作動薬+自己組織化ペプチドの局所投与実験のみならず、次年度より行うTRPチャネルの作用機序の検討や、他施設共同での検討までできる限り同時に行うようにする。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の予定通り、TRPチャネル作動薬、自己組織化ペプチドによる局所薬の治療応用の可能性。TRPチャネルファミリー解析によるIBDの病態の解明。サロゲートマーカーとしてのTRPチャネルファミリーの可能性の検討を行う。動物実験おいては、引き続きTRPチャネル作動薬+自己組織化ペプチド局所投与による腸炎モデルにおける効果、副作用の確認をする。またTRPチャネル作動薬+自己組織化ペプチド局所投与の末梢血、骨髄に対する効果や可能であれば、腸内細菌との関わりについて検討する。ヒト検体については腸管、末梢血での健常人、IBD症例でのTRVチャネルファミリーの発現量の確認。治療によるTRPチャネルファミリーの発現量の確認。腸内細菌とTRPチャネルファミリーの関連について、遺伝子変異とTRPチャネルファミリーの関連について、さらに当初の計画に追加して、神経ペプチドと時計遺伝子の関連について検討していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
IBD患者検体の検討については、統計に耐え得る数に達するには、時間がかかりReal time PCRを行う計画が次年度以降に遅れたため、また同時に並行しながら動物モデルでの検討を行っていく予定であったが、短期海外留学とそれによる計画の変更、追加のため、また現在は回復したが自身の健康問題にのため予定より作業能率が低下し次年度使用とした。
|
次年度使用額の使用計画 |
IBD患者検体の検討については、今年度中には予定人数に達する予定であり、まとめて測定を行う予定である。今後は実験の進行が遅れないようにするめ、TRPチャネル作動薬+自己組織化ペプチドの局所投与実験のみならず、次年度より行うTRPチャネルの作用機序の検討や、他施設共同での検討までできる限り同時に行うようにする。
|