新規バイオロジクス製剤抗ヒトCD20ヒト化抗体(TKM-011)を用いた原発性胆汁性胆管炎(肝硬変、以下PBC)患者におけるB細胞除去療法の臨床開発に平行して、Human CD20 (hCD20)、Human FcγR (hFcγR)ファミリーを発現するPBCモデルマウス(以下モデルマウス)作成し、TKM-011抗体の薬効試験を兼ねたB細胞除去療法の治療有効性を確認する。併せて、プロテアソーム阻害薬Bortezomibによる形質細胞除去を行い、モデルマウスにおける制御性形質細胞の病態への寄与を解析し、病態制御が確認された場合にはB細胞除去療法に制御性形質細胞移植を併用することによる病態制御向上の可能性を検討する目的で、研究を行っている。 hCD20およびhFcγRファミリーをhemiで発現するモデルマウスにてTKM-011を投与した結果、B細胞低減によっても病態が改善する可能性が示唆される結果を得て、追加検討を行い同論文の再投稿準備を進め、H30年度(2018年11月)にFrontiers in Immunologyに論文を発表した。B細胞低減によるCD8陽性T細胞の減少、肝臓内炎症細胞の減少、肝臓内B細胞数とCD8陽性T細胞および炎症細胞について正の相関が確認され、B細胞除去がPBCの病態を改善することが示唆された。また、治療薬であるTKM-011に対する抗体(抗治療薬抗体)が出現した群ではB細胞除去およびPBCの病態改善が減弱したことから、抗治療薬抗体の発現可能性が低い抗体医薬での治療が望ましいことが示唆された。 B細胞の低減をさらに促進するためhCD20をhomo発現し、さらにmouse CD20 (mCD20)を除去したマウスの作成を進めたが、hCD20の発現は限定的でB細胞の完全除去を達成できる環境が得られていない。今後も検討を進める方針である。
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