現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は多施設での検体収集を実施し、川崎医科大学534検体、千葉大学109検体、名古屋市立大学18検体、筑波大学602検体、佐賀大学39検体、国府台病院12検体の合計1,315検体について、ゲノムDNAおよび血清を収集する事ができた。1,315例のワクチン接種検体のうち、1,200検体程度については既に臨床情報の登録も完了し、残りの検体についても臨床情報の付帯を進めている。 収集された検体のうち、一部についてはAffymetrix社のAXIOM ASI1 Array(約60万種のSNPを搭載)を用いたゲノムワイドSNPタイピングを開始しており、解析を実施するに足る良好なデータが取得されている。
|
今後の研究の推進方策 |
収集された検体に対して引き続きゲノムワイドSNPタイピングを実施する。SNPタイピングは東京大学大学院医学系研究科人類遺伝学分野内にあるヒトSNPタイピングセンター内で行い、得られたSNPタイピング結果を用いてGWASを実施する。ケース群とコントロール群でSNPごとにアリル頻度の差の有無を検定し、HBワクチン応答性に関連する候補SNPを同定する。 またHLA imputation (HLAアリルの推定)を実施し、HLAアリルの関連解析に用いる。解析対象は、GWASに用いた検体と同じサンプルセットを予定している。HLA imputationはゲノムワイドSNPタイピングデータを使って実施され、通常数多くの方法やツールが存在する。しかしその多くがヨーロッパ人集団向けに作られており(参照配列としてヨーロッパ人集団しか選べない事が主な原因)、日本人のHLA imputationには適していない。研究代表者の所属する研究室では、HIBAG Rパッケージを用いて日本人の健常者データを参照配列として解析を実施する事で、HLA imputationの精度を95.1-99.5%にまで向上させる事に成功した。この事から、当初予定していた関連が既報のHLA-DPB1およびDRB1のHLAタイピングの実施ではなく、上記2遺伝子座を含む6座(HLA-A, B, C, DRB1, DQB1, DRB1)について、HLA imputationを実施した結果を用いて関連解析を実施する。
|