研究課題
B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus: HBV)およびC型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus: HCV)のゲノムは、単一個体内では遺伝子変異体の集合体(quasispecies)であることを新規シークエンス技術を用いて網羅的かつ詳細に解析することにより明らかにした。すなわちHCVでは、抗ウイルス治療未治療時から存在し、とくに、インターフェロンを用いないDAA(Direct anti-HCV agents)による治療不成功例では、治療前から存在しているminor cloneが治療不成功時にdominantとなることを明らかにした。またこのクローンは遺伝子の相同性解析により、治療によってimmune pressureにより出現したものではなく、治療前のquasispeciesの状態で存在するminor cloneであり、resistant associated variants: RAVであることを示すことができた。一方、HBVでは、HBV-PreS2領域のdeletion mutantやPre S1/S2開始コドンの変異が存在するquasispeciesの状態であることが明らかになった。さらに混在状態を定量的に解析するためにmutantの存在割合をdeep sequencing法により解析すると、変異率1%以上が病態と大きく関連することを明らかにした。しかしこの状態はHBVの場合は抗ウイルス治療とは関連せず、HBVのpolemerase阻害剤(核酸アナログ製剤)を用いても変化しない。この変化は年余にわたるHBVの持続感染の結果形成されており、HBV増殖を完全に抑制できない各アナログ治療では、容易に変化しないことが明らかになった。
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