研究課題
本研究においてはD-galatosamine誘発急性肝不全モデルラットにおける歯髄由来幹細胞培養上清の効果を検討、線維芽細胞や骨髄由来幹細胞と比較して高い肝障害抑制効果、またラット生存率を得られることがわかった。そのメカニズムとしてはproinflammatory cytokineの抑制、antiinflammatory cytokineの発現増強、および抗炎症性マクロファージであるM2型マクロファージに発現するCD206、Arginaseの発現増強が認められ、M1型からM2型への形質転換が重要なメカニズムであることを示した。この歯髄由来幹細胞に強く発現する液性因子を解析、マクロファージ遊走因子であるMCP-1とM1からM2への強い誘導因子である分泌型Siglec9を同定した。そこで次に上記2液性因子の急性肝不全モデルラットへの効果を検討した。まず上記2因子を除去した歯髄由来幹細胞ではラットの肝障害抑制、生存率の上昇がキャンセルされた。またMCP-1、分泌型Siglec9単独ではこれらの効果が全く現れなかったが2因子の同時投与にて明らかな肝障害抑制効果、生存率の改善が見られ、これらの2因子は協調的に効果を示すことが明らかとなった。また培養上清でも示された如くproinflammatory cytokineの抑制、antiinflammatory cytokineの発現増強、および抗炎症性マクロファージであるM2型マクロファージに発現するCD206、Arginaseの発現増強が認められ、また抗M2マクロファージに対する阻害剤であるm-Chrodrosome投与にて効果がキャンセルされることも明らかとなった。また同時にTUNEL陽性細胞の減少とKi-67細胞の増加が認められ、これら24因子が肝再生の促進にも寄与していることが示された。
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Scientific Reports
巻: 7 ページ: 44043~44043
10.1038/srep44043