研究分担者 |
桑木 健志 岡山大学, 大学病院, 助教 (80643387)
大西 秀樹 岡山大学, 大学病院, 助教 (30595468)
中村 進一郎 岡山大学, 大学病院, 助教 (70514230)
能祖 一裕 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (10314668)
岩室 雅也 岡山大学, 大学病院, 助教 (30645403)
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研究実績の概要 |
Notchシグナルと他の肝癌悪性化関連転写因子の検討において、肝癌培養細胞Hep3B, Huh7, HLE, SK-Hep-1を用いて検討を行い、Notchシグナルの活性化により転写因子Twist発現が亢進する事をWestern blottingにより確認した。癌抑制遺伝子Runt-related transcription factor 3 (RUNX3)のプラスミド導入によりRUNX3蛋白質の発現は亢進し、RUNX3-siRNAの導入によりRUNX3蛋白質の発現は低下することもWestern blottingにより確認した、これらの細胞操作により肝癌培養細胞におけるNotchシグナルを制御することが可能であることが確認された。また、Notchシグナルの活性化により下流シグナルのHey, HESが活性化することもWestern blottingにより確認した。更に肝癌の癌幹細胞マーカーであるEpCAMの発現が亢進する事も確認できた。Notchシグナルの活性化は、E-cadherin発現を低下させ、細胞移動能を亢進させることも確認した。同様に上皮間葉転換(Epithelial-Mesenchymal Transition:EMT)に関連するN-cadherinやvimentinの発現も亢進した。これらの成果によりNotchシグナルの活性化は、肝細胞癌細胞の癌幹細胞化のみならす、EMTも亢進させることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
1. 癌幹細胞化による抗癌剤耐性化機構の解明: a. in vitroでの癌幹細胞化と抗癌剤耐性化の関連を検討:遺伝子発現制御肝癌培養細胞を5FU(0.01-100nM),cisplatin(0.01-100nM)を含む培地で培養し、5FUの抗癌剤効果を検討する。Notchシグナル活性化やMRP1-5の発現に与える影響についてはWestern blotで検討する。b. in vivoの検討:SCIDマウス実験モデルにおける癌幹細胞抑制療法の検討:2bと同様に腫瘍モデルを作成し、2, 4, 6, 8週で剖検し、腫瘍径、重量を測定する。上記モデルに5FU, cisplatinを腫瘍接種後2週より週に一度腹腔内投与する。5FU(20 mg/kgを中心に検討), cisplatin(2.5 mg/kgを中心に検討)との併用による効果を評価する。摘出した腫瘍は免疫染色及びWestern blotによりNotchシグナル、幹細胞マーカー、MRP1-5発現を評価する。 2. 臨床検体を用いた検討: 5FUとcisplatinの併用療法施行前に、肝癌組織の採取し、標本の癌部、非癌部組織を用いて検討を行う。a. Jagged-1, Notch, Hey, HES, Twist, RUNX3, 癌幹細胞化マーカーの発現・活性化をWestern blot , 免疫組織染色により評価する。b. aの分子発現との関連性について、MRP1-5発現と合わせてWestern blot 及び免疫組織染色により評価する。肝組織での検討結果とin vitro実験での解析結果に解離がある場合には、分化度別の組織を用いたマイクロアレイ解析を用いて、その他の癌幹細胞化、抗癌剤耐性化関連分子の抽出を行う。 3. 癌幹細胞抑制療法の検討: Hep3B, PLC, Huh7, HLE, SK-Hep1と、RUNX3発現およびTwist発現を制御した遺伝子改変肝癌培養細胞を用いる。これら細胞をγセクレターゼ阻害剤で処理し、幹細胞機能、抗癌剤耐性化克服の効果を検討する。
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