研究課題
肝細胞癌化学療法の革新的選択基準開発を課題として、研究を進めている。サイトカインによる効果予測、糖鎖マーカーによる効果予測、血清中癌特異的遺伝子変化による予測が大きな柱であるが、初年度は化学療法治療症例の血清の集積を進めるとともに、基礎データの解析を行った。癌特異的遺伝子変化として、hTERTプロモーター変異の組織での解析を、根治的手術を施行した症例で行い、癌組織でプロモーター変異が検出された症例では、手術後の再発が多い事を見出した。現在化学療法感受性との関連を明らかとするため、デジタルPCRと次世代シーケンサーを用いた血清での変異検出系の確立を試みている。この系が確立できれば、癌診断や予後予測への応用も可能となるため、重点的に研究を進めている。また、サイトカインについては8種類の治療前血清サイトカイン発現とソラフェニブ治療効果との関係を見出しているが、その他の報告されているサイトカインを含めた解析の結果、新たに追加検討したサイトカインはオリジナルの判定法を凌駕するものではないことが判明した。そのため、既報に沿ったサイトカインの組み合わせで、前向きに集積している血清を用い中間解析を開始している。糖鎖については、平成27年のアメリカ臨床腫瘍学会でPD1抗体など免疫調整による肝癌治療の有用性が報告されたため、特に免疫グロブリン結合糖鎖に着目し、癌診断および薬剤感受性との関連についての検討を開始した。また、ソラフェニブの予後と関連していた糖鎖については、ハイスループットな解析を可能とするため、その結合蛋白の同定を試みている。
2: おおむね順調に進展している
血清の集積も順調に進み、検討課題も循環癌細胞の検討に遅れが認められるものの、逆にhTERT遺伝子変異の検討は当初の予定より進んでおり、全体としてはおおむね順調に経過していると考えられる
前年度からの研究を継続して行う。人血清サンプルを用いた研究であり、最終的な予定サンプルが全てそろった段階で解析をすすめるのではなく、適宜中間解析を行い、方向修正を行ってゆく。血清中の癌由来DNAの解析にはデジタルPCRを用いる予定であるが、次世代シーケンスでの測定が必須になった場合には予算配分も修正する必要があると考えられる。
糖鎖測定など、一括して実験したほうが効率的である研究を翌年度早々の時期に予定したため。
早々に糖鎖測定等に使用する予定である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件)
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