研究課題
肝細胞癌化学療法の革新的選択基準開発を課題として、サイトカインによる効果予測、糖鎖マーカーによる効果予測、血清中癌特異的遺伝子変化による予測を試みている。検討した血清サイトカイン発現の中で、治療前の効果予測については困難であることが判明したが、angiopoietin-2がソラフェニブ症例の予後予測因子として有用である事、また経時的な測定を行うことによって、早期の効果判定が可能となる可能性のあることを見出し、国際学会に次年度発表予定である。糖鎖マーカーについては、免疫グロブリン結合糖鎖に着目し検討を進め、プレリミナリーではあるが培養がん細胞から分泌される液性因子が、B細胞での糖鎖発現にかかわっている事を見出しており、現在その普遍性と液性因子同定に着手している。今後、癌診断および薬剤感受性との関連についても検討してゆく予定である。また、ソラフェニブの予後と関連していた糖鎖については、ハイスループットな解析を可能とするため、その結合蛋白の同定を2D gelで分画したサンプルを用い行っているが、まだ結論を得るには至っておらず、引き続き検討してゆく予定である。hTERTプロモーター変異については、変異症例で手術後の再発が多い事が判明したため、血清での検出系の確立を試みてきた。しかし、GC richというプロモーター領域の特徴が検出を困難にしており、次世代シーケンサーを用いて、様々な新たな手法で検討を進めている。生検に頼らない診断法の確立が大きな目的であるため、同時に血清以外のサンプルを用いた検討も開始した。
3: やや遅れている
当初予定していた、血清での変異解析が達成できていないが、多方面からの新たなアプローチを行っており、粛々と研究は遂行されている。
前述のごとく、免疫グロブリン結合糖鎖発現機構を明かとし、癌診断および薬剤感受性予知への応用をはかる。またソラフェニブの予後と関連する糖鎖結合蛋白についても同様に検討する。hTERTプロモーター変異の、血液等の非侵襲的手段で採取できるサンプルでの同定法を模索し、臨床応用に結び付ける。
免疫グロブリン及び2Dゲルを用いた糖鎖発現解析に用いるサンプル作製がやや遅れたため、次年度にその測定用の資金を残した。
予定通り作成したサンプルの糖鎖解析に用いる
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
Hepatol Res
巻: 46 ページ: 916-923
10.1111/hepr.12636