研究課題/領域番号 |
15K09001
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
加藤 博也 岡山大学, 大学病院, 助教 (60619039)
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研究分担者 |
内田 大輔 岡山大学, 大学病院, 医員 (50749215)
白羽 英則 岡山大学, 大学病院, 講師 (40379748)
那須 保友 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20237572)
堤 康一郎 岡山大学, 大学病院, 助教 (40610910)
岩室 雅也 岡山大学, 大学病院, 助教 (30645403)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | REIC遺伝子 / 遺伝子治療 / 腫瘍免疫 / 膵癌 / 肝臓癌 |
研究実績の概要 |
REIC/Dkk-3遺伝子(以下REIC)は、様々な固形癌において、その発現が低下している。我々は難治性消化器癌に対するREIC遺伝子導入治療の有効性について検証した。膵癌、肝臓癌においても他の癌腫同様、細胞株、ヒト腫瘍組織におけるREIC発現低下を認めていた。膵癌、肝臓癌の細胞株にアデノウィルスベクターを用いてREIC遺伝子を導入することで、アポトーシスを誘導することが確認された。膵癌においては膵癌細胞株を移植したxenograftモデルマウスにおける抗腫瘍効果も確認されており、導入効率を改善した新型アデノウィルスベクター(Ad-SGE-REIC)を用いることで、従来のベクターと比較して有意に高い抗腫瘍効果を誘導できることが判明した。肝臓癌においても現在動物実験が進行中である。さらに遺伝子導入の副産物であるREICタンパクを、末梢血単核細胞(PBMC)とともに癌細胞に投与することで、PBMCの分化誘導を促進し、腫瘍免疫による抗腫瘍効果することが確認された。NOD/SCIDマウスにヒトPBMCと膵癌細胞を移植し、REICタンパクを投与することで、移植したリンパ球の癌細胞に対する細胞毒性が増強されることが判明した。この結果は、REICタンパクが樹状細胞の分化誘導を促進し、癌抗原の提示細胞として機能することで、キラーT細胞による抗腫瘍効果を高めている可能性がある。REIC遺伝子導入治療は局所の抗腫瘍効果のみならず、腫瘍免疫による転移性腫瘍などに抗腫瘍効果も期待できる可能性がある。今後は胆道癌、消化肝癌などに癌腫を広げ、さらに検証を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定では、H27年度における計画は①REICの消化器癌における機能の解明、②新型アデノウィルスベクターAd-SGE-REICを用いた抗腫瘍効果の検討、③REIC蛋白を介した腫瘍免疫誘導効果の検討を行うこととしていた。前述の通り、②③についてはいずれもREICの有用性が示され、②に関してはH28年度以降に計画していた動物実験を含めたpre-clinical studyの結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
肝臓癌における動物モデルを用いた検証を行って行く。膵癌、肝臓癌のみならず、胆道癌、胃癌、大腸癌におけるデータを集積していく
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次年度使用額が生じた理由 |
実験機材、試薬などを他研究のもので代用できたため、次年度に繰り越して使用することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は癌腫を広げて検証するため細胞株や試薬、動物実験資材の購入にあてる他、今年度の研究成果を発表するための学会出張費などにあてる予定である。
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