研究課題
平成27年度の目標は、①TK-NOGマウスを用いたヒト肝細胞キメラマウスの作製②ヒト肝細胞移植マウスへのHBV感染③HBV感染マウスへのヒト末梢血単核球(PBMC)投与④肝炎モデルの確認である。まず、110匹のTK-NOGマウスへ、肝障害を惹起する為にガンシクロビル投与を行い、51匹がALT:600以上となり、5x105個のヒト肝細胞の移植を行った。移植後8週目のヒトアルブミン値の平均値は、2.4±0.4 ng/mLとなり、B型慢性肝炎患者血清を1x10^5 copy静脈内注射しB型肝炎ウイルス感染マウスを作製を行った。HBV接種後、マウス血中HBV DNA量は8.1±0.4 log copy/mLとなりプラトーに達した。HBV DNA量がプラトーに達した時点で、5 x 106 human PBMCsの末梢血を腹腔投与し、投与2週後にマウス肝臓内のリンパ球を回収し、ヒトCD45をマーカ―に生着したhuPBMCの表現型についてFACSを用いて解析を行い、マウス肝臓の病理組織的検討も行った。HBV感染マウスへhuPBMC投与2週投与後の生着率は84±2%であり、一方非感染マウスでの生着率は55±24%と有意にHBV感染マウスで生着率が高かった。また、ヒトアルブミン値がHBV感染マウスでは有意に減少しALT値が有意に上昇したのに対し非感染マウスではアルブミン値の減少やALTの上昇を認めなかった。さらに、HBV特異的細胞障害性T細胞を非感染マウスでは検出されなかったがHBV感染マウスでは検出され、HBV感染マウスのみマウス血中にGranzyme AとIFN-γを検出した。マウス肝組織の検討では、HBV感染マウスでは単核球の集簇を認めたが、非感染マウスでは認めなかった。HBV感染マウスへT細胞選択的共刺激調節剤CTLA4Igを投与したところ肝傷害が抑制された。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度の目標は、①TK-NOGマウスを用いたヒト肝細胞キメラマウスの作製②ヒト肝細胞移植マウスへのHBV感染③HBV感染マウスへのヒト末梢血単核球(PBMC)投与④肝炎モデルの確認であったが、全ての項目について達成できた。
平成27年度に作製したモデルを用いて、すでに肝炎以外の各種疾患に対し,細胞障害性T細胞をターゲットとした薬剤の有効性が確認された薬剤を投与し、薬効を評価する。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
J Virol.
巻: 89 ページ: 10087-96
10.1128/JVI.01126-15