研究課題
C型肝炎ウイルス (HCV)関連肝細胞癌の癌部において過剰発現し、AP-1シグナルを活性化することで癌の進展に寄与するProtein kinase R (PKR)は、その下流にあるeIF2alphaを活性化する。同様にeIF2alphaを下流に持つ細胞内分子として、PKR-like endoplasmic reticulum (ER) kinase (PERK)がある。PERKは肝炎症によって生じるERストレスに影響され、PKRと同様に抗ウイルス作用を持つことが示されている。また、PERKはPKRとともにp53発現を低下させることから癌に関与しているが示唆される。PKRと下流分子を共有するPERKは、C型肝炎における炎症による発癌および癌進展にPKRと何らかの相互作用が想定されるが、肝細胞癌との関連については不明である。そのため(1)PERKの変化による細胞増殖への影響を調べるため肝癌細胞株にPERK inhibitorであるGSK2656157を投与し, 細胞増殖アッセイを用いて細胞増殖能を観察した。(2)同様に肝細胞癌株を用いて、Tunicamycinによる小胞体ストレスを誘導し、PERKに与える影響について確認した。(3)作成したPKR siRNAとPERK siRNAを肝癌細胞株にトランスフェクションしてPKR, PERKの発現を低下させ、mRNAおよび蛋白の変化をリアルタイムRT-PCR、ウエスタンブロット法で測定した。(4) PKR,PERKをコードしたプラスミド(pPKR, pPERK)を肝癌細胞株にトランスフェクションしてPKR、 PERKを過剰発現させ、mRNAおよび蛋白の変化を測定した。これらの検討の結果、PKRおよびPERKの抑制あるいは過剰発現により、PKRからPERK発現、PERKからPKR発現への影響は見られるものの軽微であり、両者は独立してeIF2alphaなど下流シグナルに影響を与えている実態が明らかになった。また、PERKはその阻害によって細胞増殖能の低下がみられ、癌の進展に寄与している可能性が示唆された。
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