Protein kinase R (PKR)はC型肝炎ウイルス(HCV)の増殖を抑制するが過剰発現すると細胞増殖を促進する。本研究ではヒトおよび動物モデルにおける検討で、PKRの発現がMAPKシグナルを増強し、その阻害剤が肝細胞癌の増殖を抑制することを示した。また、PKRは肝細胞癌においてDNMTを制御してDNAメチル化に関与し、いくつかの癌関連遺伝子を制御している可能性がある。下流のeIF2-alphaにはPERKと補完的に作用してその機能を維持する一方で、PERKと互いの強い干渉作用はみられず、炎症時にも独立して肝細胞癌に関わっていると考えられ、肝細胞癌制御の治療分子標的候補と考えられる。
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