研究課題
申請者らは、B細胞の生存、分化や活性化に関与するサイトカインであるB細胞活性化因子(B cell activating factor :BAFF)がインスリン抵抗性を誘導するアディポカインであることを見出した。これまでの基礎実験の結果に基づいて、BAFFの肥満・糖尿病および脂肪肝を介した肝発癌への役割を解析することを目的として、検討を行っている。初年度は、BAFF受容体(BAFF-R)が肝細胞に発現していることを確認した。また、肝癌細胞株に脂肪酸(オレイン酸、パルミチン酸: 0.2~0.5mM)を添加して脂肪化を誘導し、この培養系にBAFFを添加し、遺伝子発現の変化をRNAレベルで解析した。また、肥満マウスモデルを用いたBAFFによる肝発癌への影響と機序の解析を行う目的で、C57BL/6マウスとBAFF欠損マウス、BAFF-R欠損マウスに対してジエチルニトロサミンを投与し、肝発癌実験のモデル作成の基礎的検討を行っている。
2: おおむね順調に進展している
肝発癌モデルの予備実験が終了し、条件設定を行うことができた。来年度以降にモデルを用いた解析が可能となっている。
本年度に樹立した肥満・発癌マウスモデルを用いてcDNAマイクロアレイや糖脂質代謝や細胞増殖を含めた癌化に関連する遺伝子群に関するPCRアレイを行うことで、脂肪化肝細胞におけるBAFFを介した肝発癌の原因となる遺伝子シグナルパスウェイの探索を行う予定である。また、他の肥満・糖尿病マウスモデルを用いた検討、および糖尿病治療薬による治療介入を行うことにより肝発癌への影響を比較検討する。最終的には臨床検体を用いた検証を行うこととしている。
遺伝子解析の一部が来年度に持ち越しとなったために、次年度使用額が生じることとなった。
次年度使用額の大部分はマウスモデルの肝臓を用いた遺伝子解析に用いる予定としている。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
PLoS One
巻: 11 ページ: e0149948
10.1371/journal.pone.0149948.
J Gastroenterol
巻: 50 ページ: 776-784
10.1007/s00535-014-1007-2