研究課題
MC4R KO自然肝発癌モデルマウスは通常食の給餌下でも極めて強いインスリン抵抗性を示す。8週令に達すると空腹時血糖は正常であるが、野生型に比して高インスリン血症を示す。このような変化は20週令に至るまで持続した。しかし、16週令より尿糖が急激に増加し、体重の減少を認める個体が増加した。そこで、12週令よりインスリングラルギンを投与して尿糖を軽減したところ、その後の体重を維持することができ、48週令での検討を行った。また、MC4RとPPAR-αのdouble KOマウスでは通常食の給餌下では野生型に比してインスリン抵抗性が軽減されたが、20週令では野生型に比して耐糖能の低下がより顕著となり、多量の尿糖が続き体重の減少を生じたためにインスリン感受性は野生型と同等となった。そこで、12週令よりインスリングラルギンを投与して尿糖を軽減したところ、その後の体重を維持することができ、48週令でMC4R KOとの比較検討を行うことができた。8週令のMC4R KOマウスでは、既知の脂肪酸合成関連の遺伝子の発現が増強され、炎症関連遺伝子の発現も増強された。脂肪酸β酸化およびω酸化関連遺伝子群やスカベンジャー受容体の発現も継時的に増強された。自然経過では体重の減少とともに、その発現が低下したが、インスリンを併用して体重を維持することにより高発現を維持することができた。炎症性細胞浸潤に伴いIL-6の発現亢進が認められたが、これもβ細胞の枯渇に伴いその発現が抑制されたが、インスリンを併用して体重を維持することにより炎症細胞浸潤を維持することができ、IL-6の発現亢進を継続することが可能であった。
2: おおむね順調に進展している
今回の研究の最大のネックはPPAR-alphaとMelanocortin receptorのdouble knock out mouseの作出であったが、順調にマウスが生まれ、統計解析が可能な疋数を確保できている。耐糖能の障害により20週令前より体重の減少するマウスが多発したことは想定外であったが、その克服に努めている。
現在48週令までの検討が順調に進捗しており、60週令までの検討はあと一息である。
必要物品を購入したが少額の残額が生じたため。
次年度に消耗品費として使用予定
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