古典的樹状細胞(conventional DC:cDC)は抗原提示能を含む多彩な機能を有する細胞である。肝線維化進展・制御のメカニズムには、微生物由来の因子(PAMPs)やネクローシス自己細胞由来の因子(DAMPs)の刺激によって認識するレセプター(TLRs)を介してKupffer細胞や肝星細胞が重要な役割を担っていることが知られているが、cDCの役割に関してはまだ十分に理解されていない。本研究では、肝線維化におけるcDCの機能的特性の解析を行い、さらに肝線維化の軽減実験を行い、その役割を解明することを目的に研究を行い、以下の結果を得た。1. cDCをCpGで刺激し、IL-10や炎症性サイトカインの産生を確認すると、CpGの刺激でTNF-α、IL-6だけでなくIL-10を産生した。2. 活性化マクロファージがIL-10により抑制されるかを確認すると、LPS刺激による活性化マクロファージが産生したTNF-α、IL-6を抑制した。3. 肝線維化におけるcDCの役割を確認するために、B6.FVB-Tg (Itgax-DTR/EGFP) 57Lan/J:cD11c-DTRマウス(DTRマウス)にジフテリアトキシン(DT) 100ngを投与しcDCを枯渇させ、四塩化炭素(CCl4)投与6週間後の生存率を評価した結果、CCl4投与群と比較し、CCl4/DT投与群は有意に生存率が低下した。4. CCl4による肝線維化マウスにCpGを投与するとIL-10が上昇し、肝線維化が軽減するが、DTRマウスにCCl4誘導の肝線維化を起こし、CpG/DTを投与してcDCを枯渇すると生存率が低下した。cDCがCpGで活性化され、IL-10を介してマクロファージからの炎症性サイトカインを抑制し、炎症や肝線維化の制御に重要な役割を担っていることが考えられる。
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