研究課題/領域番号 |
15K09018
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 義人 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70244613)
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研究分担者 |
山口 寛二 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50381950)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肝癌 / 分子シャペロン / 脂肪肝炎 |
研究実績の概要 |
Apg-2ノックアウトマウスを用いた脂肪肝炎モデル、肝発癌モデルおよび脂肪肝炎+肝発癌モデルに作成 と解析 脂肪肝炎モデル:高脂肪高コレステロール食を12週間、または、24週間投与することで作成した。肝細胞に発現するApg-2の重要性を評価するため、Apg-2ノックアウトマウスで肝細胞特異的にApg-2を発現させ、ノックアウトマウスの形質の可逆性を検証している。 発癌モデル:生後2週間の雄性Apg-2-/- マウス(対照:雄性Apg-2+/+マウス)に25mg/kg のDenを腹腔内投与し、40週間後に肝発癌の状況を確認する。マウス脂肪肝炎+発癌モデルとしては、生後2週間の雄性Apg-2-/- マウス(対照:雄性Apg-2+/+マウス)に25mg/kg のDenを腹腔内投与する。Apg-2-/-マウスではWild typeマウスに比べて肝発癌が70%から34%に低下すること、および、高脂肪食(脂肪60%)12週では脂肪肝が著明に抑制されることから、生後2週間でDenを投与済みのApg-2-/-マウスが体重20g前後になった時点で高脂肪高コレステロール食(脂肪60%, コレステロール1.25%)を投与し、40週間後の時点で発癌に対する脂肪肝炎の影響を検討する予定とした。採取された肝組織からHE染色標本を作製し、血清からALT/AST、血糖、インスリン、脂質の値を測定、real-time PCRやWestern blotting でApg-2, ZO-1, SONAB, HSP70, 脂質関連遺伝子、アポトーシス関連遺伝子、細胞周期関連遺伝子の発現を定量的に、免疫組織化学的でApg-2、ZO-1、 SONABの肝細胞内での局在を検討している。また、AMPK、PPARa、PGC-1a、HSP70とのinteractionに注目して上記実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Apg-2ノックアウトマウスを用いた、脂肪肝炎モデル、発癌モデル、マウス脂肪肝炎+発癌モデルは作済みで、現在得られたサンプルの解析を進めている。これらの検討で得られた結果からApg-2の最も関与するシグナル経路を同定し、ヒト肝癌細胞株やヒト肝癌の検体において同様の検討を行う予定であるが、ヒトサンプルの収集に少し手間取っている。ヒト肝癌細胞株の実験においてもreal-time PCRやWestern blotting でApg-2, ZO-1, SONAB, HSP70, 脂質関連遺伝子、アポトーシス関連遺伝子、細胞周期関連遺伝子の発現を定量的に行う。また、AMPK、PPARa、PGC-1a、HSP70とのinteractionに注目して上記実験を進めて行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト肝癌細胞株の中で比較的分化度の高いHuh-7、PLC/PR5と分化度の低いHLE、肝芽腫由来でP53 Wild typeのHepG2細胞を用いてApg-2のがん遺伝子としての側面を検討する。Apg-2のサイレンシングは簡便なsiRNAのトランスフェクションによる方法と、トランスフェクションによるアポトーシスの誘導を無視できるテトラサイクリンonのシステムを用いた方法で行う。特にテトラサイクリンで発現誘導されるApg-2サイレンシングは、vivoにおいてヌードマウスでの腫瘍形成の観察に応用できることから細胞株を樹立していくが、クローン採取の際に限界希釈法を繰り返すため時間を要する。また、ヒト臨床検体でのApg-2no発現と臨床データとの関連を検討することでApg-2の肝発がんにおける重要性の検討を行う。
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