研究課題/領域番号 |
15K09019
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
田守 昭博 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (30291595)
|
研究分担者 |
村上 善基 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (00397556)
榎本 大 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20423874)
大藤 さとこ 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (70433290)
久保 正二 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (80221224)
|
研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
|
キーワード | C型肝炎ウイルス / 肝発癌 / マイクロRNA |
研究実績の概要 |
C型慢性肝疾患に対するインターフェロン治療著効例を継続して追跡し、サンプル収集を進めた。本年度はウイルス消失(SVR)後3年以上経過した4例から同意を得て肝生検を実施した。またSVR症例約200例に現時点における生活習慣アンケートに協力依頼をした。本年度の学術報告としてSVR後の肝発癌例とHCV持続感染時の肝発癌例について切除サンプルを用いたmicroRNA発現の解析をまとめて論文報告した。本解析からHCV消失後の肝癌はHCV持続感染時とは異なるmicroRNA発現パターンを示しおり、その下流域で制御する遺伝子発現にも差異を認めた。すなわちSVR肝癌とHCV肝癌には異なる発癌メカニズムが存在する可能性が推測された。なお本論文には肝癌を発症していないSVR患者の肝組織におけるmicroRNA発現に関するpreliminary dataも提示した。 インターフェロン治療前後の肝生検組織を比較し炎症・肝線維化を評価し肝発癌例では、ウイルス消失後の肝組織において2項目とも改善度合いが不良であることを示した。 Tamori A, et al. Hepatol Res. 2016 Mar;46(3):E26-35 第41回日本肝臓学会西部会 ワークショップ「慢性C型肝炎SVR後における肝発癌例、非発癌例の臨床像および組織学的検討」
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究準備段階からサンプルを収集しており、概ね順調な進捗状況である。しかしSVR後の肝発癌例について非発癌例との比較には臨床背景に大きな差異がありcase control studyのためにはより多くの症例収集が必要と考えている。インターフェロン治療前後(SVR後3年以上観察した症例)に肝生検による肝線維化の推移と発癌との関係は、本研究の特色であるが治療後に肝生検を同意していただける症例は少なく今後の課題である。 SVR症例の生活習慣アンケートについて回収された100例について記入漏れの再調査とデータベース作成を継続している。
|
今後の研究の推進方策 |
SVR後の肝発癌例について非発癌例との比較のため、より客観的な症例抽出を行うためpropensity scoreを取り入れた解析の準備中である。 肝生検に代わる血清線維化マーカー(M2BPGi等の)を解析項目に加え抹消血中microRNAの動態とも比較する計画である。 さらに2014年から保険診療で開始されたインターフェロン・フリー(DAA)治療例についてもSVR後の追跡を実施していく方針である。インターフェロン治療とDAA治療におけるSVR後の肝発癌の比較解析も本研究に追加していく計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度研究助成金を平成27年10月21日に交付していただき、その後2月末日まで約4ヶ月間の研究に係る諸費を使用致しました。本年度は短期間の研究活動の中、サンプル収集と研究準備段階から進めている解析に重点を置いたため予算を残す結果となりました。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は、本年度分の残額を含めて1年間の研究予算にて研究を実施すべく検討しています。具体的には、統計解析のためソフトウエアを含めた物品購入、遺伝子解析・蛋白発現解析のための物品購入を予定しています。また研究成果を公開するため1年間を通して学会参加、セミナー参加、論文作成等を予定しています。
|