研究課題
C型慢性肝疾患例への抗ウイルス治療によるHCV消失(SVR)後の肝癌発症危険群を同定することを目的とした。まずHCV持続感染例からの肝発癌に寄与する患者要因として遺伝子多型との関係を解析した。これまでのGenome wide association解析からHCV肝癌との相関が示唆されるMICA, DEPDC5, HCP5, PNPLA-3について肝癌257例と非癌例1,098例 を対象とし解析した。その結果、肝癌例においてMICAマイナー型のみが有意に高頻度であった。さらに肝癌例と非発癌例について臨床背景(年齢・血小板数)を一致させた検討にて高齢C型肝疾患例および進行肝線維化慢性肝炎例ではMICA多型(マイナー型)と肝癌に相関関係があり、肝癌高危険群を設定する上で臨床的に有用と考えられ論文報告した(Sci Rep 2017)。次にインターフェロン(IFN)治療によるSVR例にてIFN治療前と組織学的な相違を比較検討した。さらにSVR後の肝癌発症例についても外科切除サンプルにて非癌部肝組織の病理像を解析した。発癌群と非発癌群とについてIFN前後の肝組織像と比較したところ発癌例においてSVR後の肝線維化の改善遅延あるいは増悪を認めた。さらに免疫組織学的解析にて肝発癌の肝組織においてはHCV消失後も活性化星細胞が持続して存在していることを明らかにした(PLOS One 2018論文報告)。活性化星細胞がSVR後の肝線維化に何らかの影響を有していることさらに発癌にも寄与している可能性が推測された。Direct acting antivirals(DAA)治療を733例に導入し717(98%)例がSVRを達成した。その後のSVR例観察にて、初発肝癌を21/610(3.4%)例に認めている。さらに肝癌根治例からの再発肝癌は31/78(40%)例でありHCV消失のみでは肝癌の根絶が難しいことが確認された。DAA治療群を対象とした肝癌遺伝子多型との検討では、MICA及びTLL1ともに有意な相関を認めなかった。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件)
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