研究実績の概要 |
前年度の研究成果で抽出した9種のmiRに関して、53例のソラフェニブ治療を受けた肝癌、及び8例の健常者の血清で、それらのmiRを定量した。微量のmiRを安定して定量するためlocked nucleic acid(LNA)を用いたqPCRを用い、referenceとして血清中に安定して存在する5種のmiRを定量し、ターゲットmiRとのCq値の差(ΔCq)を求めた。9種のmiRのうち、増幅効率の良い5種を選び解析し、miR-181a-5及びmiR-339-5pにおいて、1ヶ月目の反応性と治療前の血清中量の間に量依存的関係が認められた(miR-181a-5; p=0.0223; PR例/SD例/PD例の中央値=2.61/3.31/3.50: miR-339-5p; p=0.0244; PR例/SD例/PD例=4.89/5.52/5.99)。referenceのmiRの組み合わせを変えてinter assay variationを検討し、miR-181a-5はmiR-339-5pより安定して定量できた。3ヶ月以上のPR又はSD持続をdisease control (DC)例とし、DC、non-DC及び健常者間で血清中miR-181a-5を定量したところ、non-DC群ではDC群、健常者群と比較して有意にmiR-181a-5量は低値であった(p = 0.0349,non-DC vs. DC; p = 0.0181 non-DC vs.健常者)。ソラフェニブの適応であるBCLC-stage C例を対象として、単変量で有意差のあった因子(肝外転移の有無、血清DCP値、血清miR-181a-5量)を用いて多変量解析をおこなったところ、血清miR-181a-5量が独立して治療開始後のDCを予測した(p=0.0092,OR=0.139, 95%CI=0.011-0.658)。またmiR-181a-5量は独立して全生存期間に影響した(p=0.0194)。
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