研究課題/領域番号 |
15K09029
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
飯島 尋子 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80289066)
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研究分担者 |
田中 真二 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30253420)
藤元 治朗 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90199373)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肝線維化 / 肝脂肪化 / 超音波 / shear wave / Elastography / 肝発癌リスク |
研究実績の概要 |
簡便な肝線維化・脂肪化の超音波診断基準の作成と定量法の研究は2014年11月までに組織学的に診断し肝硬度を測定した慢性肝疾1074例で検討した。肝硬変の診断能は判別能をROC解析で検討するとVTQ((Siemens) / SWE(Aixplorer)/ElastPQ/ SWE(Toshiba) /SWE(LogiqE9)/TEの曲線化面積(AUROC)はそれぞれ、0.959/0.963/0.964/0.967/0.970/0.959であり良好な判別能を示した。各機種間での肝硬度測定における相関係数も0.832-0.965と相関を認めた。肝生検で得られた組織は保存し来年度線維化と脂肪化の更なる検討を免疫染色とともに行う予定である。 簡便な肝発癌リスク予測の研究はこれまで得られた臨床例での約2800症例のデータを元に肝硬度と空腹時血糖(VTQ1.35,FBG93以上)が高値である症例からの発癌リスクが高いことが示された。論文投稿中。肝線維化・脂肪化のステージ特異的遺伝子発現プロファイルの網羅的解析による肝発癌関連遺伝子・バイオマーカーの探索は、手術症例に関してHCV肝炎治療に関わる発癌との検討を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
簡便な肝線維化・脂肪化の超音波診断基準の作成と定量法の確立に関しては、前述のとおり線維化診断法は各機種とも確立した。全ての機種で同等の肝硬変の診断能が得られることが解った。今後広く一般社会に浸透するべく広報活動も行っていく必要があると考えている。世界に向け発信のためには多施設検討が必要と考えており。次年度中に国内施設に提案し後ろ向き共同研究を開始したい。また、現在複数機種での線維化診断に関しては研究内容は論文化を進めている。 脂肪化定量は手法の確立が終了した。特に新しい機器を用いず機器メーカーと協力して脂肪減衰量を測定し組織との対比検討を行っている組織脂肪定量化は病理医と共同し検討中である。研究は極めて順調に進んでいる 肝発癌リスク予測法を開発に関しては後ろ向きの検討で論文を投稿中、前向き多施設研究は順調に症例数を重ねている。 発癌リスク遺伝子プロファイルに関しては現在検討中今年の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
簡便な肝線維化・脂肪化の超音波診断基準の作成と定量法の確立に関しては、前述のとおり線維化診断法は確立した、全ての機種で同等の肝硬変の診断能が得られることが解った。論文内容は各種血清マーカーとの診断能の差を検討すること、血清マーカーは既知の有用なマーカーであるAPRI,Fib4をはじめヒアルロン酸、PⅢP、4型コラーゲン、M2BPGiとの相関を検討する。また下記機種間で同等の診断能があることを検討し報告予定である。 脂肪化定量は周波数2MHzと4MHzで特に新しい機器を用いず脂肪減衰量を測定し組織との対比検討を行っているが、組織脂肪定量化は病理医と共同し検討中である。既知のFibroScanによるCAP値との定比検討を予定したい。 肝発癌リスク予測法を開発に関しては後ろ向きの検討で論文を投稿中、前向き多施設研究は順調に症例数を重ねている。 発癌リスク遺伝子プロファイルに関しては現在検討中で次年度の課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
肝生検ならびに手術症例の肝線維化・脂肪化の検討のため組織標本の対比検討を予定している。免疫組織染色ならびに画像解析を必要とする。病理医が一括して組織を検討することが所見のばらつきを無くし、また免疫組織抗体が高額なため組織染色を一度に行うことが予算圧縮につながり標本と保存し一括して免疫組織染色を行うため繰り越し来年度執行予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
肝組織の線維化脂肪減衰の臨床的検討ならびにラットによる実験的検討を行う。臨床検体については現在保存中の組織を一括し各種グレードの脂肪肝モデルを作成し組織との検討を行う予定である。組織はHE染色の他、線維化診断のため、マッソントリクローム染色、脂肪染色であるスダンなど脂肪染色を行い検討する。組織を画像解析ソフトimage Jを購入しパソコン上で解析する。そのデータを病理医との検討のためデジタルで保存するため保存媒体を購入する予定である。
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