研究課題
肝星細胞を含む肝類洞壁細胞は、肝臓病進展のみならず肝発癌微少環境形成に重要な役割を果たすが、細胞内遊離コレステロール蓄積は、細胞外コレステロールレベルとは独立した形で、肝類洞壁細胞性状変化を引き起こしそれらの病態を修飾する。我々は、各肝類洞壁細胞の遊離コレステロール蓄積が、NASH・肝線維化・肝臓癌の病態機序に及ぼす役割を詳細に解析し、併せて細胞老化との相関も明らかにすることを目的としている。肝星細胞特異的Lipoprotein lipase (LPL) 欠損マウスでは、肝星細胞に遊離コレステロールが蓄積することを我々は確認した。我々は、野生型マウスと肝星細胞特異的LPL欠損マウスとに、24週間高脂肪食を摂餌させることにより、非アルコール性脂肪肝炎モデルを作成した。これらの非アルコール性脂肪肝炎モデルでは、LPL欠損により、肝星細胞の遊離コレステロール蓄積の抑制を介して、非アルコール性脂肪肝炎の肝線維化進展が抑制された。現在、病態機序の詳細につき、解析中である。これらの非アルコール性脂肪肝炎モデルでは、LPL欠損による肝星細胞の遊離コレステロール蓄積が、肝星細胞のTLR4シグナル増強を介して病態に関与する可能性が示唆されるデータが得られている。また、肝臓癌モデルを作成し(生後2週間でDEN投与、その後高脂肪食を摂食させるモデル)、肝臓癌病態に及ぼす影響についても詳細な解析を施行中である。さらに細胞老化と遊離コレステロール蓄積の病態に及ぼす影響についても、同様の解析を施行し、その詳細を解析中である。
すべて 2017
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J Hepatol.
巻: 67 ページ: 780-790
10.1016/j.jhep.2017.05.020.