研究課題
ポリオウイルス, SARSコロナウイルス, マウス肝炎ウイルス等のプラス鎖RNAウイルスは複製複合体を含む膜小胞を形成しその中で複製することが知られているが、そのメカニズムについては不明である。本研究ではC型肝炎ウイルス(HCV)をモデルに、プラス鎖RNAウイルスの複製の場である膜小胞形成および複製のメカニズム解析を目指す。HCVNS4BはHCV複製に関与する膜小胞の形成に重要な役割を果たしていることが知られているので、NS4Bと結合する膜タンパクを同定し、そのタンパクの複製における役割について解析した。プロテオーム解析およびsiRNAスクリーニングにて、NS4B結合膜タンパクとしてprolactin regulatory element binding protein (PREB)を見出した。PREBはSec12とも呼ばれ、COPIIを介した小胞体輸送に関与するタンパクとして知られている。免疫沈降、免疫染色、proximity ligation assayにて、NS4Bのaa141-190とPREBのaa1-110領域が結合していることを確認した。HCV擬似ウイルス、レプリコン、HCVJFH1株を用いた解析により、PREBはHCVの侵入、翻訳、粒子形成の過程には関与しておらず、複製に重要な役割を果たしていた。レプリコン細胞の免疫染色により、PREBはNS4Bと結合することにより、新規HCVRNA合成を示すBrUTPおよびdouble-strand RNAと共局在が観察され、生化学的な解析により、PREBはNS4Bと結合し複製複合体が含まれる界面活性剤不溶性分画に移行することが見出された。HCVNS4B結合膜タンパクとしてPREBを見出した。PREBはHCV複製に重要な役割を果たしていると考えられ、そのメカニズムの解析を目指す。
2: おおむね順調に進展している
プロテオーム解析およびsiRNAスクリーニングにて、NS4B結合膜タンパクとしてprolactin regulatory element binding protein (PREB)を見出した。PREBはSec12とも呼ばれ、COPIIを介した小胞体輸送に関与するタンパクとして知られている。免疫沈降、免疫染色、proximity ligation assayにて、NS4Bのaa141-190とPREBのaa1-110領域が結合していることを確認した。HCV擬似ウイルス、レプリコン、HCVJFH1株を用いた解析により、PREBはHCVの侵入、翻訳、粒子形成の過程には関与しておらず、複製に重要な役割を果たしていた。レプリコン細胞の免疫染色により、PREBはNS4Bと結合することにより、新規HCVRNA合成を示すBrUTPおよびdouble-strand RNAと共局在が観察され、生化学的な解析により、PREBはNS4Bと結合し複製複合体が含まれる界面活性剤不溶性分画に移行することが見出された。以上のように、HCV複製に関与する因子を見出し、当初の目的は達した。
今後はPREBがどのように複製に関わっているか解析する。まず、レプリコン細胞をPREB siRNA処理し、電験観察を行い、膜小胞に与える影響を解析する。さらに、PREB siRNAを投与したレプリコン細胞の界面活性剤不溶性分画をproteaseまたはnuclease処理し、HCVNSタンパクおよびHCVRNAがprotease・nuclease感受性なるかどうかにより、HCVNSタンパクおよびHCVRNAを保持する膜小胞構造の形成・維持に与えるPREBの役割を解析する。レプリコン細胞、感染細胞、感染ヒト肝キメラマウスの肝組織において、PREBの発現の増減について解析する。
siRNAで多くのホスト因子のスクリーニングを行う予定でしたが、細胞全体のプロテオーム解析に比べて、生体膜を精製後のプロテオーム解析したため、スクリーニングにかかる数が大幅に減らすことができた。
候補淡白について、siRNA処理後電験で確認作業をする予定である。
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