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2015 年度 実施状況報告書

膵癌進展を規定する細胞表面分子の同定と標的化

研究課題

研究課題/領域番号 15K09042
研究機関東京大学

研究代表者

中井 陽介  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80466755)

研究分担者 山本 恵介  東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (10608532)
立石 敬介  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20396948)
松原 三郎  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40750550)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード膵がん / エピジェネテイクス
研究実績の概要

申請者は積極的に膵癌の化学療法を行い、その予後不良因子の臨床的知見を集積してきた。
なかでも腹膜播種は化学療法などの抗腫瘍治療効果を低下させる大きな悪性化因子である。現在いまだ腹膜播種を標的としうる有効な化学療法レジメンは殆どなく、新たな治療法が望まれる。これまでに申請者らは、SNPアレイを用いたゲノムワイドのコピーナンバーバリエーションの解析から、ヒストン脱メチル化酵素KDM6B遺伝子がp53遺伝子近傍17p13に存在し、膵癌においてLOHを呈していることを見出した(Lin, Tateishi et.al. Oncology 2008;75:102)。さらにKDM6Bの発現低下が癌抑制遺伝子CEBPAの発現を直接抑制することにより膵癌の悪性度増加に寄与することを明らかにした(Nakai, Tateishi et al. Carcinogenesis 2014)。上記の検討により、KDM6B- C/EBPa axisの破綻が膵癌自然史における腹膜播種、癌性腹水といった重度の悪性化に関与する可能性が示唆された。今回、本研究においてはKDM6B- C/EBPa axisの異常に伴って出現する細胞集団とその特異的な表面マーカーを同定することをこころみ、その候補分子を同定した。その高発現細胞集団が腹膜播種、癌性腹水などの重度の悪性化に寄与する分子メカニズムを解析し、また逆にこの分子が膵癌悪性化機序を抑制しうる治療標的となる可能性を検討する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

KDM6Bノックダウン細胞とランダムコントロール細胞で網羅的な遺伝子発現解析を行い、その発現アレイデータを詳細に検討した。二倍以上に発現上昇がみられる分子のうち、細胞表面に発現される分子群をおよそ50遺伝子同定した。さらにその中から複数の細胞クローンを用いた定量的RTPCRにより、その有意な発現上昇に再現性がみられる遺伝子を約20分子抽出しえた。そのうち、フローサイトメトリーで実際に細胞表面の発現がKDM6Bノックダウンで増加するマーカー分子を探索した。その結果、その高発現細胞群がKDM6Bノックダウンによって誘導される表面マーカーを抽出した。よってこの新高発現細胞分画とそれ以外の分画をそれぞれsortingによって単離し、それぞれの分画ごとにスクラッチアッセイでの遊走能やマトリゲルシステムを用いた浸潤能、またsphere形成アッセイによって腫瘍形成能の程度を比較検討することによりこの高発現細胞群がKDM6Bノックダウン細胞でみられる浸潤能や腫瘍形成能亢進を再現できるかどうか検討を開始している。

今後の研究の推進方策

in vitroのアッセイ系のみならず、in vivoでのヌードマウスへの移植系でも浸潤性、腹膜播種の有無、転移の有無、Serial Transplantによる腫瘍形成能の評価を行っていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] The inhibition of renin-angiotensin system in advanced pancreatic cancer: an exploratory analysis in 349 patients2015

    • 著者名/発表者名
      Nakai Y, Isayama H, Sasaki T, Takahara N, Saito K, Ishigaki K, Hamada T, Mizuno S, Miyabayashi K, Yamamoto K, Mohri D, Kogure H, Yamamoto N, Ijichi H, Tateishi K, Tada M, Koike K.
    • 雑誌名

      J Cancer Res Clin Oncol.

      巻: 144 ページ: 933-939

    • DOI

      10.1007/s00432-014-1873-2.

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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