研究課題
申請者らはSNP アレイを用いたゲノムワイドのコピーナンバーバリエーションの解析から、ヒストン脱メチル化酵素KDM6B 遺伝子がp53 遺伝子近傍17p13 に存在し、膵癌においてLOH を呈していることを見出した(Lin, Tateishi et.al. Oncology 2008;75:102)。さらにKDM6B の発現低下が癌抑制遺伝子CEBPA の発現を直接抑制することにより膵癌の悪性度増加に寄与することを明らかにした(Yamamoto, Nakai, Tateishi et al. Carcinogenesis 2014)。今回はKDM6Bノックダウン膵癌細胞の発現解析により、対照と比べて二倍以上に発現上昇がみられる分子のうち、複数の細胞クローンを用いた定量的RTPCR により、その有意な発現上昇に再現性がみられる遺伝子を約20 分子抽出しえた。。中でも本研究では、CD47 がKDM6B ノックダウンによって誘導されることを見出し、その高発現細胞の生物学的特性の解析を行っている。結果としてスクラッチアッセイでの遊走能やマトリゲルシステムを用いた浸潤能、またsphere 形成アッセイによって腫瘍形成能の程度を比較検討することによりCD47 高発現細胞群がKDM6B ノックダウン細胞でみられる浸潤能や腫瘍形成能亢進を再現できるかどうか検討したところ、CD47 高発現細胞群がin vitro での高い腫瘍形成能を呈することを確認した。さらにはその細胞群の誘導機構を明らかにするため上流の細胞内リン酸化シグナルについても検討を行っている。本研究によりエピジェネテイクス制御分子の発現異常に基づく膵癌悪性化の分子機構の詳細を明らかにしうると考えられる。
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Pancreas
巻: 46 ページ: 1069-1075
doi: 10.1097/MPA.0000000000000889
Dig Endosc
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