研究課題/領域番号 |
15K09045
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
川 茂幸 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (10177628)
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研究分担者 |
太田 正穂 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (50115333)
伊藤 哲也 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (50748605)
亀子 文子 純真学園大学, 保健医療学部, 准教授 (60126670)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自己免疫性膵炎 / IgG4関連疾患 / 悪性腫瘍 / 膵癌 / 標準化罹患比 |
研究実績の概要 |
自己免疫性膵炎 (autoimmune pancreatitis: AIP)、IgG4関連疾患 (IgG4-related disease: IgG4-RD)と悪性腫瘍合併に関する検討。 AIPと悪性腫瘍発症について検討した結果、109 例 (男性84名、女性25名、年齢中央値66歳)で種々の悪性腫瘍を30例に認め、標準化罹患率は 2.08 (95%信頼区間:1.32-2.85)であり、AIPは悪性腫瘍合併と有意に関連していた。また,膵癌に関しては標準化罹患率 6.81 (0.13-13.5) であり、有意な相関は認めなかったが、両者の関連は推定され今後症例数を増やして検討する必要があると考えられた。IgG4-RD 158例(男性119名、女性39名、年齢中央値72歳)では34名に36例の悪性腫瘍が認めら、標準化罹患比は2.01(95%信頼区間:1.34-2.69)となりIgG4-RDは悪性腫瘍合併と有意に関連していた。IgG4-RD診断1年以内における標準化罹患比は3.53(95%信頼区間:1.23-5.83)、診断1年以後における標準化罹患比は1.48(95%信頼区間:0.99-1.98)より、悪性腫瘍はIgG4-RD診断1年以内に診断されることが多いと考えられた。一般人口の年代別悪性腫瘍罹患率を用い、カプランマイヤー曲線で比較検討した結果、IgG4-RDと診断してから12年以内においてはIgG4-RD患者は一般人口と比べ有意に悪性腫瘍を発症した。悪性腫瘍発症群は非発症群と比べ診断時において血清活動性マーカーであるIgG4、可溶性IL-2受容体、免疫複合体が有意に高値であった。(J Rheumatol. 2015 Nov;42(11):2135-42.)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自己免疫性膵炎、IgG4関連疾患と悪性腫瘍発生について有意な関連を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
自己免疫性膵炎、IgG4関連疾患と悪性腫瘍発生に関連する免疫遺伝学的背景の検索、自己免疫性膵炎、IgG4関連疾患発症に関連する遺伝子について検索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
自己免疫性膵炎、IgG4関連疾患と悪性腫瘍発生に関連する免疫遺伝学的背景の検索、自己免疫性膵炎、IgG4関連疾患発症に関連する遺伝子について検索する予定が、次年度に一部繰り越してしまい、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、平成28年度請求額と合わせて、以下の検索及び検討を行うため、主に消耗品費として使用するとともに、情報収集及び得られた成果の発表に使用する計画である。自己免疫性膵炎、IgG4関連疾患と悪性腫瘍発生に関連する免疫遺伝学的背景の検索、自己免疫性膵炎、IgG4関連疾患発症に関連する遺伝子について検索する。自己免疫性膵炎、IgG4関連疾患と膵癌や悪性リンパ腫など個々の悪性腫瘍についても有意に発症するか否か検討する。自己免疫性膵炎、IgG4関連疾患で感染防御や自然免疫で活躍するNK細胞のレセプターKIR(killer cell Ig-like receptor)をタイピングし、悪性腫瘍発症に抑制性KIRあるいは活性化KIRの関与を検討する。KIRタイピングはreal-time PCRを用いた方法で判定する。
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