研究課題/領域番号 |
15K09051
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
島崎 猛夫 金沢医科大学, 総合医学研究所, 准教授 (50377420)
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研究分担者 |
中村 有香 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助手 (00565632) [辞退]
石垣 靖人 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (20232275)
山本 聡子 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助手 (00768161)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 膵がん / エクソソーム / HSP90 / 抗がん剤 |
研究実績の概要 |
膵がん細胞に対して標準的抗がん剤であるGemcitabineを投与すると、膵がん細胞からHeat Shock Protein 90(HSP90)などの液性因子が放出されることを見出し、細胞外HSP90が上皮間葉移行(EMT)を誘導することを明らかにした。HSP90は、細胞のダメージの際に放出あるいは、細胞表面から切り離されることが推定されている。次に我々は、細胞外小胞の一つであるエクソソームにHSP90が含まれていることから、抗がん剤による細胞のダメージ状態においては、何らかの機序によりエクソソームがより放出されるようになり、その中に含まれているHSP90を検出していたためではないかと推測した。抗がん剤により細胞外HSP90が増加することをWesternblotにより確認したため、次に同じ条件において、Gemcitabineでは、エクソソームの細胞外への放出が増加することを微粒子計測装置にて確認し、エクソソーム表面マーカーCD63,CD9を用いてWesternblotでも確認した。一方、抗がん剤の種類を変えてみたところ、エクソソームの放出量を低下させるものがあり、違いがあることが判明した。そのため、分子標的薬などによるエクソソームの量的変化についても解析を行った。これらの事実は、細胞の状態でエクソソーム排出量が大きく変化することを示しており、抗がん剤治療における負の側面としてエクソソームを介した転移誘導効果の可能性を示唆するものである。しかし一方でエクソソーム排出量を低下させる抗がん剤も見出したことから、がん細胞からのエクソソーム排出抑制剤としての可能性を見出した。本研究では、これまでに明らかにされていなかったがん細胞からのエクソソーム排出量の変化について、その変化させる要因の一つが抗がん剤であることを明らかにすることができた。
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